「青春」
何かが壊れる音がした。その音は小さく、しかし確実に僕の中でこだまして一つの終わりを告げていた。恋が一つ終わっただけ、とも取れるし青春そのものの終わりとも取ることが出来た。僕が二十二歳のときのことだ。
それ以来僕はなるべく自分が傷付かないように、人に深入りすることを避けるように生きて来た。そうすることで致命的な痛手を避けることは出来たが、それと同時にあの切実なまでの心の震えはもう戻っては来なかった。
それから十数年の時を経て僕の心はゴムが古くなっていくようにゆっくりと弾力を失っていった。大人になった、と人は言うかも知れない。しかし僕は心の奥底で未だ探し求めている。再び僕の心を動かすような、あの十代の頃に味わったような魂の震えを。たとえもう手遅れだったとしても、それでも。