愛について | shingo722のブログ

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 「愛について」
 
 彼女はおそろしくわがままで、傲慢だった。その高圧的な態度は少なからず僕を疲弊させ、うんざりとした気持ちにさせた。しかし何よりも僕を疲弊させ、うんざりとさせたのは、そんな彼女を僕が愛してしまっているということだった。夜中にショートケーキが食べたいという理由で呼び出され、僕が近くのコンビニでそれを買っていくと、
「私が食べたいのはこの種類のショートケーキじゃないわ。そんなことも分からないの?それにもう、ショートケーキが食べたい気分でも無くなってしまったの」
 と言って追い返されたこともあった。にも関わらず、まるで惑星が恒星の周りを公転するように、彼女の引力に僕は引き寄せられるのだった。
 何十回かに一回、あるいは何百回かに一回でも褒めてもらえるなら、そのために全力で奉仕する。人はそれを都合の良い関係と呼び、僕は愛と呼ぶ。要するに見解の違いである。
 そのごく稀に見せる笑顔は僕にしか見せない笑顔である。そう思い込んで僕は今日も真夜中の電話に笑顔で応えるのだった。