冒険者 | shingo722のブログ

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 「冒険者」
 
 東の空が白み始めて夜が明けようとしていた。僕は夜通し書き物をしていて、ふと目を上げた頃には鮮やかな朝焼けと共に小鳥たちの鳴き声が朝の訪れを告げていた。
 夜に書く文章と朝に書く文章はどこか違う。夜中皆が寝静まった頃に机に向かい文章を書いていると自分が冒険者となって何か試練を潜り抜けているような錯覚に陥ることがある。あるいは本当に自分は何を潜り抜け、境界を跨いで別世界に行こうとしているのかも知れない。それとは逆に、朝に書く文章は僕をどこにも連れて行ったりはしない。ただそこには美しい朝焼けと夜明けの景色が広がっているだけだ。
 そして夜と朝の狭間で文章を書いているとき、僕はそこに自分の意識の切り替わる様子を見ることが出来る。いくつかの試練を乗り越え、たどり着いた景色を見ることが出来る。たとえそれがありふれた日常のようなどこにでもある景色であったとしても、僕にとっては自分の脚でたどり着いた確かな場所なのだ。