「占いの館」
「アンタには兄弟がいるね」
「えぇ、まぁ」
ふむふむ。
「兄貴か弟だ」
「弟ですね」
「やっぱりね」
老婆は得意げに言った。
「二人兄弟で、とても仲が良い」
「いや、姉もいるんで三人ですね」
老婆は内心ギクリとしたようだが努めて顔に出さないようにして言った。
「なるほど、オーラに邪魔な影があったもんで、それで見えなかったんだ」
老婆はそれらしいことを言いながらタロットを切った。
「ふむ、これは素晴らしい!」
老婆はカードを並べながら叫んだ。
「アンタには近いうちに転機が訪れるよ」
「それはどういった転機なのでしょう?」
「アンタはこのチャンスを掴むべきだ」
老婆は僕の質問を無視して言った。
「そうすれば必ず出世する」
「なるほど」
「しかしそのためにはこのパワーストーンが必要だね…」
「あの、この辺で…ありがとうございました」
僕は嫌な予感が当たり始めたので早々に占いの館をあとにすることにした。
「では5800円ね」
「え、でもさっき3800円って…」
「オーラも診ておいたからね」
揉めるのも面倒だったので僕は渋々言われた通りの金額を払った。老婆はさっさと金勘定を済ませると奥へ引っ込んでしまったので、僕は複雑な思いを抱えたまま外へ出た。
薄暗い館を出てふと空を見上げると、それは夕日で鮮やかな茜色に染まり思わず僕は見とれてしまった。なにはともあれ一つ、厄が落ちたような気がした。