「ものさし」
この奇妙で歪んだ世界においては、自分自身が奇妙で歪んだ存在になることによってのみ、普通の存在になることが出来る。僕はずっとそんな風に思っていた。郷に入りては郷に従えということである。
しかし、いくらこの世界に馴染もうとしたところで、彼らと僕との間には、いつも薄皮一枚、いやそれどころか、もっと分厚い壁があるように感じられた。必然的に僕は幼い頃から世界からの疎外感を感じながら生きることになった。良くも悪くもそれが僕自身を形作って来たものである。
いびつに型取られたいびつな存在としての僕は結局この世界からも自分自身からも孤立することになった。
しかし、まぁいいさ。僕は半ば諦めたように決意した。彼らが僕を疎外するなら、僕は僕自身のものさしで彼らとの距離を測り、そして自分自身との距離を測り生きていくまでだ。そのようにして幾重にも張り巡らされた自分の存在の核と外の世界との間にある壁の厚さを測ることによってのみ、自分自身を確立することが出来るのだ。僕は今のところそう考えている。