「倦怠感」
どうしようもない倦怠感が僕を包み込んでいた。何をする気も起きなかった。ベッドの上に起き直り、タバコを1本吸ってみたが駄目だった。僕は諦めてキッチンに行き、コーヒーを淹れてテレビのニュース番組を見ながらそれを飲んだ。遠い国で知らない誰が殺されていた。それらのニュースは少しも僕の心を動かさなかったし、かえって倦怠感に拍車を掛けただけだった。無力感、と言い換えてもいいのかも知れない。数日前に女と別れたばかりだった。
「あなたといるのって素敵だったわ」
彼女は言った。
「でもそれだけなの。これ以上あなたが私に何かを与える事は出来ないし、それは私も同じ事なのよ」
より一層、倦怠感は深まっていた。おそらく今日も、何をするでも無く一日が終わり、明日からは仕事の毎日が始まる。でもそれで良いのかも知れない。忙しさに紛れさせるようにして心を殺し、日々を乗り越えていく。今のところ僕はそのようにして毎日を生きている。