「部外者」
自分は部外者である。これはテーゼであり、事実であり、回顧録でもある。僕はずっとそう感じながら生きてきたのだ。家族の中にあってさえそう感じていたのだから、外の世界では言うまでもない。どれだけクラスのみんなが盛り上がっていても、その「みんな」の中に自分は含まれていない。そのようにして僕は学生生活を送って来た。たぶんそのせいだとは思うのだが、彼女に言われたことは衝撃的というより現実味を欠いているように思えた。
「どうしてそうやって自分を粗末にするの?なぜ私があなたを求めていることが分からないの?」
彼女に頬を張られた事よりもその言葉に僕は動揺した。
「君が僕を求めている?」
「なんでそんな当たり前のことが分からないの?じゃあどうしてこうやって2年も3年も一緒に暮してるわけ?」
涙が音を立てて彼女の握りしめられた手の甲に落ちた。彼女はその握りしめた手で僕の胸を力なく叩いた。それはさっきの平手打ちよりもよほど痛く感じられた。
「もう二度と死にたいなんて言わないで」
そう言って僕の胸に顔を埋めながら泣く彼女を抱きしめながら、
「分かったよ、もう二度と言わない。約束する」
そう言っていつまでも僕は指先でその長い髪をとかし続けていた。