生と死 | shingo722のブログ

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 「生と死」
 
 生まれながらにして死に向かいつつあるという感覚を持っていた。日ごとに、数時間ごとに、一秒ごとに、自分の寿命がすり減っていっていると、幼心に感じていた。必然、周りの子どもたちに馴染む事は出来なかった(誰が自分の寿命を意識しながらヒーローごっこに興じることが出来るだろう?)。
 彼女は自分と同じだ、同じ感覚を持っていると、初めて会ったときから感じていた。いつも教室の机からどこを見るともなく窓の外に目をやる姿に、自分を重ねずにはいられなかった。どんな幼少期を過ごしたの?周りの子どもたちのことはどう見えた?親の前で無邪気を演じなければという強迫観念に囚われたことはある?などなど、質問したいことは山ほどあった。だからこそ彼女の、
「私は死にたくなんかないわ」
 という言葉は少し意外な気がした。
「僕だって死にたくなんかないさ。でもなんていうかこれは、必然的に決まっていることなんだ」
「私はたとえ自分が死に向かっているとしても可能な限り抗うつもり。それを受け入れて何もしないでいるあなたとは違うの」
「君はどうしてそんなに生きることにこだわるの?」
「私はただ、生きることが当たり前だと思っているだけ。幼くして亡くなったお姉ちゃんの分も、寿命をまっとうしなければならないと思っているだけ」
 死というものを受け入れた上で、それを見つめ直し、可能な限り生をまっとうしようとしている彼女に、僕は何か生きることの可能性のようなものを示してもらった気がした。