白線 | shingo722のブログ

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 「白線」
 
 無力感は雪のように降り積もっていた。僕は駅のホームに立って呆然と電車の来る方を見つめていた。僕の存在に何の意義があるのだろう。昔からクラスでも家の中でも、そして家庭を持った今でも、どこにも居場所というものを見つける事が出来なかった。そして会社を解雇された今、僕自身すらも僕を見離そうとしていた。
「3番ホームに電車が参ります」
 アナウンスと共に電車のライトがトンネルを抜けて近づいて来た。間違いなく僕は生と死の間に居て、この白線がそれを隔てているように感じた。あとは僕が一歩を踏み出すだけでいい…。そう思ったとき、何かが肩にぶつかった。
「すみません」
 白い杖を頼りに歩く女性がふらふらと僕の後ろを通り過ぎていった。サラリーマンたちが迷惑そうにそれを避けている。電車がもうすぐホームに滑り込んでくる。僕は無意識にその女性の方へ一歩を踏み出していた。僕にはまだ、誰かの役に立つことが出来るかも知れない。
「あの」
 僕は白線のギリギリを歩く彼女に声を掛けた。