豚 | shingo722のブログ

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 「豚」
 
 すべては効率的に、手際良く行われていた。次々に送り込まれてくる豚を、熟練の作業員たちが大きな包丁で細かく裁断していく。必然的に豚たちの悲鳴で、あたりは阿鼻叫喚の様相を呈している。しかし作業員たちは黙々と自分達の仕事をこなしていた。耳栓でもつけているのか、まるで豚たちの悲鳴など聞こえていないかの様に淡々と作業をこなしていく。僕は込み上げてくる吐き気と闘うのに必死だった。
「我々は一歩先の食育を目指しています」
 案内係の人が笑顔で言った。
「食肉が加工される工程をお見せすることで、皆さんに命の大切さを学んでもらおうと思っています」
 クラス委員の村上さんが堪え切れずに吐いていた。いつも元気な田中くんは、逃げ出そうとして作業員の人に取り押さえられていた。周りの風景がグニャリと歪み、僕は気を失った。
「加藤くん。加藤くん」
 僕を呼ぶ声で目が覚めた。クラスのみんなが僕の方を見てクスクス笑っている。どうやら悪夢を見ていたようだ。
「それでは明日の社会見学に行く場所を発表します。明日は近くの食肉加工工場にいきます」
 僕は耳を疑った。
「かなり豚の血が飛び散るらしいので、皆さん汚れてもいい格好でくるように」
 悪夢はまだ続いているのだ。