ステレオタイプ | shingo722のブログ

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 「ステレオタイプ」
 
 「害の無いポップソングなんて甘いだけの砂糖菓子みたいなもんさ」
 その友人は言った。
「オレは新しい音楽を作る。革命だよ」
 東京に出て行った友人は、今ではロクに曲も作らずにヒモ同然の暮らしをしているらしい。
「勝新太郎や松田優作のような俳優になりたいんだ。いや、なるって決めたのさ」
 別の友人は言った。そして東京でアルバイトをしながら役者の学校に通い、今ではそのアルバイト先の店長まで上り詰めたらしい。ヒモに比べたら雲泥の差だ。
「新しい小説を作りたいんだよ」
 僕は言った。
「でもあなた、小説なんて書けないでしょう?」
「やってみなくちゃ分からない。脱サラして小説に集中したいんだ」
「きっとあなたのお友達みたいになるわよ」
「僕はヤツらとは違う」
 彼女は呆れて出て行った。会社を辞めたものの、彼女が出て行ったことは予想以上の喪失感を僕にもたらした。もはや何をする気力も起きない。どうやら僕も順調にヤツらのあとを追っているようだ。