「古い友人」
「いつからそんなに酒を飲むようになったんだい?」
「オレは比較的まともなんだよ」
ヤツは言った。
「この世界でシラフで生きていられるヤツの方がどうかしているのさ」
ヤツの言うことにも一理あった。
「それでも生きなくちゃならないだろ」
僕は一般論を述べてみた。
「お前も昔はもう少しまともだったぜ」
「そうかも知れない」
バーをあとにしてから僕は一度も後ろを振り返らずに家に帰った。どう考えても我々は昔のパートナーに戻ることは出来そうになかった。僕は友人でもあり古い仕事仲間でもある男を、アルコールの霧が立ち込めた深い森の中に残し“まともな”世界へと帰って行った。