未来 | shingo722のブログ

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 「未来」

 「あなたが望むのなら」
 彼女は言った。
「それは手に入るわ。たとえそれが何であったとしてもね。ただし条件がある」
 彼女はそこで一呼吸置いた。
「本気で望むこと。何を犠牲にしてでもそれを手に入れたいと。でないと、むしろあなたは大きな代償を払うことになる」
 彼女は扉の前で私にそう告げた。その扉がどこに続くのか、何を意味する扉なのか、そのことについては何も教えてはくれなかった。
「この扉の向こうに」
 僕は尋ねた。
「僕の本当に望むものがあるんだね?」
「本気で望むならね」
 これが夢の中の出来事なのか、それとも僕は既に死んでいて、あの世とこの世の狭間で行われていることなのか、判別がつかなかった。どれだけ思い出そうとしても、前後の脈絡が思い出せない。遠い昔に読んだ小説の印象に残った一節の様に。その言葉自体は印象深いのだが、前後の文章がまるで、もやがかかった様に思い出せない。
「あなたの可能性に」
 彼女は扉を開きながら言った。
「期待しているわ、神の祝福があることを」
 僕は状況が飲み込めないながらも足を踏み出した。自分の未来を決めるのは自分の意志でしかないのだという誰かの言葉を思い出しながら。おそるおそる、しかし覚悟を決めて。