「肝試し」
「でもさ、こうやって肝試しとかしてると霊が寄って来るって言うよね」
僕はボソッと言ってみた。
「やめてよそういうこと言うの!」
案の定、怖がりの松嶋さんが反応した。しめしめ、無理矢理2人で肝試しに来たかいがあった。これはそのうち嬉しいハプニングが起こるかも知れないな。
僕らは暗い廊下を歩くうち、この廃校の理科室のようなところに到着した。
「この理科室の人体模型が夜な夜な校舎を徘徊するって噂だよ」
「もう本当にやめてったら!怒るよ」
半べそをかきながら抗議する松嶋さんも可愛いな…そうほくそ笑んでいたとき、突然懐中電灯の灯りが消えた。
「ちょっと、悪いイタズラ止してよ!」
「いや、わざとじゃないよ。あれ、おかしいな、電池換えたばっかりなのに…」
そのとき、ガタンッ!という音が僕たちのすぐそばで響いた。
「キャアァァァ!」
松嶋さんの悲鳴と共に僕はギュッと抱きつかれた。怖さより嬉しさが勝った感情の中、
「早く逃げましょう!」
教室の入り口の方で彼女の声がした。ん?じゃあ今僕の腕にしがみついているのは…?そう思った瞬間、意識がスーッと遠のいていった。
翌朝、友達を連れて戻ってきた松嶋さんに発見されたとき、僕は人体模型と抱き合って気絶していた。彼女の記憶には、倒れてきた人体模型にびっくりして失神した男として僕のことは刻まれた事だろう。
でもあのとき、確かに暗闇の中でしっかりと抱きつかれたんだけどなぁ。