あの世 | shingo722のブログ

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 「あの世」
 
 死が2人を分つまでと言うならば、もし心中したとしても結局2人は別々の場所に行ってしまうのだろうか?それとも、この場合の死というのは夫婦のうちどちらかが先に死ぬことを意味しているのだろうか?しばらく考えた末、僕は後者の方を結論として取ることにした。なぜなら、もし旦那が死んで未亡人になったら(別に妻が先に死ぬことだってあるわけだけれど)、あとはその辺の男とよろしくやったって構わないということになるわけだからだ。そう考えるとキリスト教も寛容でよろしい。
「心中したらあの世で一緒になれるって本当かな」
 僕はベッドで隣に寝転んでスマートフォンをいじっている彼女に聞いてみた。
「さぁ」
 彼女は言った。
「そういうのに興味があるの?」
「別に」
 僕は答えた。
「ただなんとなく聞いてみただけさ」
「ふうん」
 そう言ってまたひとしきり彼女はスマートフォンの画面をスクロールしていたが、やがて口を開いた。
「私は心中したってあの世で一緒になんてなれないと思うな」
「なぜ?」
「だって死んでしまったらゼロだもの。そもそもあの世なんて人間が勝手に考えたものでしょう」
 彼女は言った。
「仏教やらキリスト教やら色んな種類のあの世があるんだったらややこしくてしょうがないじゃない。仏教の偉いお坊さんが間違ってキリスト教の世界のあの世に連れて行かれちゃったら大変でしょう?」
「まぁ、ひとつの考え方ではあるな」
「だから生きてるうちに楽しめるだけ楽しんでから死ななきゃ損なのよ」
 断っておくが、僕と彼女は別に不倫関係にあるわけではない。ラブホテルの長時間コースが安かったから入ってみたら、時間を持て余してしまったために暇つぶしに話のテーマが欲しかっただけである。
 しかし、もし本当にあの世なんてものが無ければ、死んでからまで2人の行く末を考える必要がなくて楽なモノだな。彼女がシャワーを浴びる音を聞きながら、僕はふとそんな事を考えていた。