例え | shingo722のブログ

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 「例え」
 
 「私、学校って好きじゃないわ」
 彼女は拗ねたように言った。
「ハッキリ言って学校なんて冷蔵庫の中にいるようなもんよ。ひんやりして色んな野菜がひしめき合って、息苦しいったらありゃしない」
 例えはよく分からないが、彼女はとにかく学校があまり好きじゃないらしい。
「学校の先生なんてみんな歯ブラシみたいなものよ。並んでぶら下がってるだけじゃない」
 それは歯ブラシをどこに置くかによるんじゃないかと思ったけれど、僕はあえて口を挟まなかった。
「僕のことは?」
「あなたのこと?」
「僕のことは好き?」
「もちろん好きよ。だってコーヒーマシンみたいで素敵じゃない」
 僕は深く考え込んでしまった。コーヒーマシン?
「だってコーヒーを淹れるのがすごく上手でしょう?」
「そこはそのままの意味なんだ?」
「それから何事につけてもよく気が付くでしょう?まるで宇宙を飛び回る惑星みたいで…」
「ありがとう、よく分かったよ」
 話がよく分からない方向に行きそうだったので、僕は慌てて口を挟んだ。惑星は宇宙を飛び回ったりはしない。
「僕も君のことが好きだよ。太陽みたいに明るくてさ」
「あなたって変わった例え方をするのね」
 彼女は目を丸くして言った。
「でもいいんじゃない?ちょうど太陽の引力で惑星がその周りをぐるぐる回ってるみたいで面白いじゃない」
「それは良かった」
 今初めて例えが上手く噛み合った気がしたな。とにかく、彼女は学校や先生はあまり好きじゃないけれど、僕のことは好きでいてくれてるらしい。それが分かっただけでも、まぁ良しとしよう。