「不実」
絡ませた指の隙間から時の砂がこぼれ落ちるのを感じた。そのサラサラという音が二人を焦燥感とも高揚感ともつかない奇妙な快楽へと導いていった。
不実な恋、とあなたは言うかも知れない。しかし、お互いの家庭に居場所を見つけられない彼らにとってそれは束の間の、それ故に切実な恋であった。それぞれの境遇を知ってからは加速度的に関係は深まっていった。
窓の外では夏が終わりを告げ、一足飛びに冬が来ようとしていた。二人のこれからを暗示する様に、冷たい風が吹き始めていた。
ホテルを出ると二人はしっかりと手を取り合って歩き始めた。行く当てもなく、ただ寄り添いながら。