「森」
文章を書くという行為は深い森の中を散策するのに似ている。自分の広大な意識の森の中を深く深く奥へと進んで行く。その過程である時には柔らかな陽だまりの広場に出会ったり、ある時には草木の密生したミステリアスな茂みに出くわしたりする。しかし忘れてはならないのは、どちらもあくまで自分自身の意識の中に存在するものであるということである。自分の書いた文章に責任を持つというのはそういった意味合いのことでもある。
僕は毎日原稿を前に意識を集中すると、深い深い森の奥へと足を踏み入れていく。ある時には地図も持たずに、ある時にはコンパスさえ持たずに。その中にある自分だけの居場所を求めて。もしその場所が、あなたにとっても居心地の良い場所であったらいいなと思う。もしそうであれば、それは僕だけの居場所にとどまらず、より特別で普遍的な意味を持つ場所になる。
今日も僕は森の奥へと歩を進めていく。自分自身まだその存在を知り得なかった、特別な場所を探し求めて。