「銀行強盗」
「ひとつ、銀行でも襲ってみるかな」
彼はバーのカウンターに肘をついたまま、退屈そうに言った。
「いいとも」
僕は言った。
「仲間はどうする?」
「田中に中村、それに佐藤だな。アイツらには試験前にノートを見せてやった“貸し”があるからな」
「なるほど」
僕たちは大学の夏休みにバーで暇を潰していた。それはそんな冗談でも言い合っていないと乗り越えられないほど暇な夏休みだった。僕たちは2回生でまだ就職活動もしておらず、時間ははいて捨てるほどあった。
「さっそくメンバーを集めるか」
「ああ。まず計画を立てるためにみんなで中村の家に集まろう」
「よし。アイツは親の仕送りで広い部屋に住んでやがるからな」
かくして5人の強盗は朝までテレビゲームで盛り上がることになった。銀行を襲う計画も、気が向いたら立てるかも知れない。