喪失 | shingo722のブログ

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 「喪失」
 
 哀しみが砂の様に僕の心を埋め尽くすと、ウイスキーを飲んで寝た。どれだけ泣いても涙は心の砂漠に染み込んで、満たされる事が無かった。僕は彼女を失ったのだ。
 季節が巡る様に彼女は去って行った。
「大丈夫、あなたならきっと素敵な人に巡り合うわ」
 しかし僕はいつまでも秋と冬の堂々巡りを繰り返していた。哀しいととても哀しいの間を行ったり来たりしていた。
 やがて憂鬱な朝が来ると僕は死んだ様に服を着て歯を磨いて仕事に出掛けた。心はいつまでも満たされる事が無いのに、食欲はまるで湧いてこない。わずかなパンを飲み込むのも一苦労だった。
 いつになったら季節は巡り、僕の心を再び温かい陽の光で照らしてくれるのだろう?そして乾いた砂地を慈悲の雨で癒やしてくれるのだろう?再び僕を蘇らせてくれるのだろう?
 二度と戻ることのない想いを求めながら、僕は暗くて長い道のりをとぼとぼと歩き続けていた。