「出会い」
運命のささやかな後押しによって2人は出会った。こんなことを結婚式のスピーチで言うと、出会い系サイトで知り合ったみたいだけれど、彼女との出会いは大学のテニスサークルだった。まぁ、どちらでも大した違いは無いのかも知れないけれど。
お互い、友達に強引に誘われるようにして入ったものの、あまりサークルにうまく馴染めなかった。大学近くの居酒屋で行われた歓迎会で、お互い居心地悪そうにしていたので自然と目が合った。
むかしむかし、どこかの大学のとある歓迎会で、ふたりはささやかな恋に落ちましたとさ。将来そんな民話として語り継がれるかも知れない。
「ねぇ、聞いてるの?」
彼女の声で我に返った。僕たちは披露宴の打ち合わせに来て、昔のことを色々と思い返していたのだった。
「うむ…」
「しっかりしてよ、一生に1回しかない結婚式にするのよ?」
「ごめんごめん」
「本当に、これだから男の人はまったく」
しかし女の子って、いざ結婚するとなったらしっかりするんだよな。