「サンドイッチ」
サンドイッチを作る上において、とかく見落とされがちなのはよく手入れされた包丁だ。断面の繊維を潰しすぎるかすぎないかで食感に格段の差が生まれる。僕は熟練の狩人のようにそういった道具の手入れを怠らない。そして清潔なまな板。ここまで用意出来たらもうあとの勝負は決まったようなものだ。しっとりとしてハリのある食パンとレタスとハム、そしてマヨネーズ。常温に戻したバターを塗った食パンに具材をのせ、マヨネーズを塗ったパンで挟む。僕の分のマヨネーズにはカラシを入れ、彼女の分には入れない。
「あなたって本当に手際がいいのね」
彼女は感心したように言うが、これは何も特別な技術ではない。毎日の修練がものを言うのだ。
僕たちは週末になるとよく、このサンドイッチをバスケットに詰めてピクニックに出掛けた。「すごく美味しい」と言う彼女の笑顔を見るために、僕は早起きしてせっせと準備をする。
そんなわけで僕はサンドイッチを作る手際だけはすごくいい。他のことは置いておくとしても。