『ハードル』
校舎の窓から君を見ていた。放課後のグラウンドで、驚くような高さのハードルを跳び越えるため、君は来る日も来る日も跳び続けた。僕は想いを伝えたくて、来る日も来る日も君に話し掛けようとした。でも君と僕との間にも、信じられないぐらい高いハードルがあった。
ある日、君はどうしても越えられないハードルを前に泣いていた。今度は僕が跳ぶ番だと思った。その日、僕は初めて越えられなかったハードルを跳び越えた。そして、君がハードルに挑み続ける本当の意味が何となく分かった気がした。
それからしばらくして君は東京の大学に進学して、それっきり僕らが会うことは無かったけれど、あの日ハードルを跳び超えた感触は、今でも僕の原動力になっている。