「雨の降る日に」
それはまったく、やけに雨の多い年だった。
「しかしまったく、やけに雨の多い年だよな」
彼は言った。
「まったくね」
彼の友人は同意した。
「こう雨ばかり多いと気が滅入って来ちまうよな」
彼はやれやれというように、大きなため息をついてから言った。
「仕方がないさ」
彼の友人は励ますように言った。
「こればかりはどうしようもない。それに雨が降らないとお百姓さん達が困っちまうだろ?」
「まぁね」
彼は気のなさそうな返事をした。
「それにさ」
彼の友人は続けた。
「雨が降らないと僕たちだって困るだろ?」
「いやそれは分かってるんだけどさ」
彼はつるりとした自分の腹を水掻きで撫でた。
「いくら何でも1ヶ月も降り続くことはないだろう」
「そんなこと言わずにひと泳ぎしようよ。やっぱり水に濡れると気持ちいいさね」
そう言って彼の友人はハスの葉っぱからピョンと池に飛び込み気持ち良さそうに泳ぎ始めた。最初のうち気乗りしなさそうにそれを眺めていたカエルの彼も、やがてバシャンと池に飛び込むと、楽しそうに友人のカエルを追いかけて泳いで言った。
そんな光景を僕は傘を差して橋の上から眺めていた。でも、本当にあのカエル達がこんな会話をしていたら嬉しいな。