「青春」
その夏の午後の日差しが僕を捉えたとき、僕は青春の真っただ中にいた。何も恐れるものも持たず、ただ自分のためだけに生きていた。18歳だった。
「高校を卒業したらどうするつもり?」
「たぶん、東京の大学に行く」
「そう」
彼女は哀しげに微笑んだ。
僕は確かに、自分の事だけを考えていたし、それでいいと思っていた。僕の通った後には草ひとつ生えない。彼女とは、東京に行ってからすぐに別れた。
あれから15年以上の月日が流れたが、何かが僕の中で変わったかと言うと、そうでもない。相変わらず、自分のことだけを考えて生きている。そしてどんどん、孤独になっていく。18歳だったころの記憶を大事に胸に抱いたまま、僕はずっとあの夏の中にいる。