「猫」
ある朝目が覚めると仕事を辞める決心が出来ていた。その足で会社に行くと辞表を出した。とてもさっぱりしている。
その公園は家からほど近くにあった。ベンチに腰掛けて缶コーヒーを飲んだ。明日からの予定は何もない。真っ白なスケジュール帳を眺めながら、久しぶりに満足した気持ちになれた。遠くのグラウンドでは子ども同士がサッカーの試合をしている。鋭いホイッスルと歓声が聞こえる。周りのひとつひとつの出来事がいつもよりはっきりと感じられた。そして、自分が心底疲れていたという事実に思い当たった。そして今、僕は自由だった。差し当たっては金の心配もない。
帰りの道すがら猫が擦り寄って来た。どうやら野良猫らしい。猫を飼うのもいいな、そんな気持ちになれた。