「再会」
僕たちは再び巡り合った。季節が一回りしたのだ。
「あなたは何を学んだの?」
彼女はそう尋ねた。
「僕が学んだのは…。」
そこまで言いかけて僕は絶句した。僕はこの一年で何を学んだのだろう?一年というのは何もしないでいるにはあまりに長く、何かを学ぶためにはあまりに短い。これからの人生を通して僕自身を支えてくれる確かなものを学ぼうとするような場合、特にそうだ。
「分からない。」
僕がそう答えると、彼女は少し微笑んだ。
「ねえ、私あなたとずっと一緒にいてもいいような気がするの。」
「僕自身、確かなものを学ぶことが出来なかったのに?」
「ええ。これは私自身の問題なの。私自身の中に見出す事が出来なかったものを、あなたと過ごすことを通して見つけられそうな気がするの。」
僕は唇を噛みながら少し考えた。
「僕が思うに、僕たちはまだ一緒にならない方がいいと思う。」
「どうして?」
「僕自身、自分の中に確かなものを見つけ出せていないんだ。」
そこで僕は少し間を置き、頭の中で考えを整理した。
「そんな状態で君と過ごして、僕たちの間にあったものが損なわれてしまうことが怖いんだ。」
「私たちの間にあったもの?」
「そう。季節が巡っても変わらずそこにあったもの。再び僕たちを巡り合わせた、確かなものが。」
彼女はじっと僕の目を覗き込んだ。初秋の風に吹かれ、彼女の瞳は透き通ってそのまま夕闇に溶けてしまいそうだった。
「もう一度…。」
彼女は言った。
「もう一度出会う事は出来るかしら。今みたいに、こうして二人きりで。」
「季節が巡ればね。」
彼女はにっこりと笑うと、さようならと言った。僕はいつまでも彼女の後ろ姿を見送っていた。必ずまた巡り合うと信じて、彼女の姿が闇に溶けて消えてしまうまで、ずっと。