かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -35ページ目

官能小説「夕日に隠れて」十

すると、松倉はにっこりと満面に笑顔を浮かべて、



僕の胸にぴたっと横顔をつけ、甘えるように抱きついてきた。



まるで、ずっとこうしたかったんだと言わんばかりに。



可愛いなあ…。



松倉って、こんなに可愛いかったのか…。



僕は、目の前にある艶やかな松倉の髪を撫でてやりたかったのだが、



どういうわけだか、それは気が引けてしまって、



そっと、気弱な手を松倉の肩に置いてやるのが精一杯だった。



ああ、やっぱり、松倉のほうが大人だな…。



こんな雰囲気の中でも、性の悦びを、のびのびと味わっているような気がする。



ここまでだって、僕は松倉にリードされっぱなしじゃないか…。



ちょっと情けないかな…。



そんなことを思っていた時、僕は急に、さっきまで野球の練習終わりで汗だくだったのを思い出し、



「あっ、松倉。俺の体、臭くないか?さっきまで汗だくだったから…」



乾きかけていた汗が、もう一度吹き出てくるような思いだった。



しかし、松倉は全く気にしていないような顔で、



「え~、全然大丈夫だよ?気になる?」



「いや…松倉が大丈夫なら…いいんだけど。」



松倉の、男の全てを受け入れてくれるような、吸い尽くすような目…



なよやかに、しなだれかかって女の甘い色気を伝えてくる白い肌の感触…



感極まって、体の芯がジンッと熱くなったのを感じたその時、



今まで、胸の内にあった官能と松倉への想いが、



一気に、直接的に、淫蕩の血とともに僕の股間に流れて集中していった。



「ああ~坂口くん、急にここがおっきくなってきたよ…。」



松倉がそう言って、僕の股間と顔を見比べた。



たまらなく恥ずかしく思った。



ああ…どうすればいいんだ?



落ち着け、落ち着け!と自分に心の中で言い聞かせてみるのだが、



肝心の僕の股間は、硬度を増していく一方だった。



そして、そこを中心にして、体中に興奮の汗を含んだ熱が広がってゆき、



再び意識の形は崩れ、



羞恥と欲望の狭間(はざま)で心は揺れて、



僕の全てが、淫らな官能の沼にズブズブと沈んでいってしまいそうだった。



どうする…?



どうすればいいんだ…?