かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -230ページ目

官能小説「放課後の夜」十九

授業を全て終え、家に帰って自分の部屋に入ってからも良雄は悶々としていた。

奈津子の、あの去り際のひとことが忘れられない。微笑んだ優しい顔、からかうような態度、そして…何もかも見抜いていながら、それを包み込んで絡みつく淫靡な声。

フウッと溜め息をつき、ベッドに横たわる。黙って天井を見ていると、また自動的にあの時のことが頭の中でリプレイされる。

たゆんだワンピースの胸元から覗けた奈津子の胸の谷間。思い出すだけで股間が熱くなってくる。

(先生は俺の視線に気づいていたのか?ちゃんと質問に対して答えながらも。)

「…変なとこばっかり見て… 」

奈津子のあの言葉。

なぜだか急に冷静になって、良雄はまた猛烈な羞恥心に襲われる。腋から背中から嫌な汗が吹き出てくる。

あの時の自分は、奈津子の説明を聞くふりをしながら、確かに欲望に取り付かれたいやらしい目で奈津子の胸元を必死で覗き込んでいた。

(先生はそんな俺をどう思っていたのだろう…スケベなガキだと思ったんだろうな…せっかく教えてやってるのに、なんて失礼な奴だと…)

良雄は跳ね起きると、慚愧のあまり枕を掴んで壁に投げつけた。

「 ああっ!クソ… 」

ベッドに座り込み、両手のひらで顔を撫で回す。消えもいりたい思いに胸を焦がす。

そうしてしばらくすると、自らを追い込んだ良雄は、今度は記憶の中から希望のよすがを探し始めた。

(でも、先生のあの言い方にはそんな俺を包容するものがあったぞ…いや間違いない!)

良雄の中で甘く深い確かな感情が動き出した。

それは勝手な思い込みだったかもしれないし、勘違いでもあったかもしれない。が、そもそもそういったものを抜きにして始まった男女が今まであったろうか?

良雄は、今まさに奈津子との道ならぬ恋にむけて突っ走ろうとしていた。