かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -231ページ目

官能小説「放課後の夜」十八

薄らいだ意識を、どうにか奈津子の話に、教える指先に集中させる。

が、やはりうまくいかない。濁った欲望に、うしろめたい感情に惑わされて、良雄はしきりにまばたきをする。話の内容はよくわからず、相槌を打つのがやっとだった。

「 …ね?こうしたら解けるわけ。 」

奈津子は説明を終えて体を起こす。その際にもフワッと香気が良雄の鼻先をかすめた。

「 あ…はい。 」

気のない返事をする良雄。

「 もお~ちゃんと聞いてたの? 」

微笑みながら奈津子が言う。そして、少し声を落として、

「 変なとこばっかり見て… 」

確かにそう言った。奈津子はうしろの席に回っていく。良雄はその後ろ姿を目で追いながら、奈津子のその去り際の言葉を幾度も反芻した。

(…なんだ?今のひとことは…)

良雄は混乱する。わかっていたのかと忸怩たる思いで体のあらゆるところから嫌な汗が出てくるのだが、あの言い方には咎めるようなニュアンスが含まれていなかった気がする。微笑みながら、しょうがないなあ…とでも言いたげな…

良雄の中に新たな、思いがけない興奮が湧き起こる。まるで奈津子と二人だけの秘密を共有したような、初めて生徒と教師の関係を超えて接触したような…

胸の高鳴りが収まらない。良雄は震えそうな体を縮こまらせ、気持ちで締め付けていた。

(先生…もう駄目ですよ…俺の気持ちは抑えられない。俺をこんなにしたのは、あなた自身だ!)