これはあとがきです。

ご興味のある方は、こちらもご拝読ください。

 

 

 

 

血液型性格診断 といえば

一度も目にしたことがない
という人は少ないはずです


A型の方は、きっとこんな感じ。

 

 

マメな性格で気配りもうまく、誰とでも合わせることができます。ただ、少し慎重になりすぎて用心深くなったり、あれこれ考えてしまうクセがあるようです。いったん夢中になると他のことが目に入らなくなることもあります。親しみやすく表裏のない性格で人をひきつける魅力があります。やや根気に欠けるものの、物事を多角的にとらえて分析することができます。

 

 

 

どうですか?







ちょっと当たってるかも?


と思った方、いるかもしれません。









実は、これと全く同じ文章を

B型、AB型、O型のそれぞれにも同じように


「あなたの血液型による性格はこんな要素があります」

 

と伝えられると、過半数の人が、
 

「当たってるかも」
と感じるそうです。


これは、バーナム効果と言われるもので


実際には

誰にでも当てはまる曖昧で一般的なことであるにもかかわらず

これは自分(または自分の属する集団)のことを指しているのだ

と感じてしまう心理的効果です。


神社のおみくじなんかも

ありがたく引いて

「今の自分にピッタリな言葉が書かれてる!」

と思ってしまう人もいますが

おみくじは、ただの有限のパターンに過ぎません。

まさに

「誰にでも当てはまる曖昧で一般的なこと」

が書いてあるに過ぎないのですが

やはり、

「神社」という神聖な場所で引くという行為も相まって

「一般的」ではない、自分への言葉と捉えてしまうのでしょう。




バーナム効果だけに限らず
私たちは、様々な認知の歪みの中で生活しています

確証バイアス
正常性バイアス
ダニング=クルーガー効果
ハロー効果
自己奉仕バイアス 
…などなど


認知バイアスと呼ばれるそれらは、
偏見や先入観によって、認識の歪みや思考の偏りをもたらします。




社会についての分析で述べたように

 

 


私たちは、仲間とそうでない者とで
その対応には、絶対的な差をつけます

親の死と、友人の死と、隣人の死と、隣国の人の死と、遠方の国の人の死と、
長年可愛がったペットの死と、動物園の象の死と、足下のアリの死と では、
どれも、その感情には差があるでしょう。


…というのは極端な例ですが

だけども、普段の生活でも

あの人が言うことと
この人が言うことと
TVの中のある人が言うことが


一言一句同じでも
聞き手の捉え方は違うでしょう

そこには、認知バイアスによる歪みがあるのです。



こう書くと、認知バイアスが何やら悪者のように感じますが


工業用語でバイアスは、補正のことを指します。

バイアスは、少しずれたものを調整するときに用いられます。


だけど、バイアスを入れすぎると真の値から大きくズレることもあります。




ある物語の中で、

AIが人間に対してこう言いました。


「私、分かったんです。人間は、みんな、認知症なんです」


私たちが認知症というと
疾患のある人のように捉えてしまいますが

フラットでロジカルな視点で視ると

人はみな、認知症を患っていると言えます。



だけど、お互いがお互いを

曖昧に解釈しながら、

適度にバイアスを調整して、

適切な距離を取って暮らしていくことで、

社会はなんとかうまく回っています


そうやって“普通”に暮らしている人の多くは、

自分が認知症だと思う人は少ないのではないでしょうか。



正常な人と認知症の人との間には

実際は境界はないんですが

自分は “常に” 正常だ」という認識(誤認)が強すぎると、

相手や周りが間違っている」という思考に陥ってしまうことがあります。


そこに、社会の歪みや争いが生まれてしまうかもしれません。



自分自身のことを、信じると同時に疑う 


なにやら難しそうですが、


この、表裏一体のことに


何かの気付きがあるような気がします