"基礎研究や教育のように、成果が出るまでの時間が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資は、公的部門が主導するべきで、その場合、財源には、税金ではなく国債で賄うべきだ。
高等教育を実施すれば、それで得た知識やスキルによって、所得増、失業減が見込まれ、社会全体でもかけた費用に対する便益が2倍以上になるとの試算がある。これは、現在の公共事業を実施する際の採択基準を軽く上回る。
教育というのは、いってみれば「優良事業」なのだ。かかる費用はひとまず国債発行で賄い、教育効果の出る将来世代に納税という形で返してもらえばいい。
モノへの投資は国債発行による公共事業になっているが、ヒトへの投資は税財源というのはつじつまが合わない。無形固定資産でも、コストベネフィット分析のB/Cのような投資採択基準でやればいい"(*4)
"そうであれば、いっそのこと財政法4条(下記)を改正して、建設国債対象経費にしたほうがいい"(*4)」
ス「へ〜、税でやるべきものと国債でやるべきものがあるんだね。小泉進次郎議員は分かってないみたいだけど。でも、財政法なんて簡単に変えられるのかな?"公共事業"の対象に教育とか入れちゃえば…」
コ「ぽりてぃかるきゃぴたるがー」
ス「コ、コンナン君、急にどうしたの?」
コ「普通の会社で考えたら、投資案件が複数あって、将来的に儲かるなら、費用対効果を考えたうえで、財源を調達して投資するよね。
そのときに
『将来の会社にツケ(借入金や社債など)を残すな!』
『会社の負債を社員1人当たりで割ると◯万円!』
とか言ってたら、どう思う?」
ス「か、関わりたくないね。そんな会社(汗」
コ「進次郎のおじちゃんが『俺を信じろ〜』と言っても、信じちゃダメなこともあるね」
ス「(スベってる…)」
コ「一応、比較表を作って、保険と消費税、教育国債を比較した(*3)ようなんだけど、定性的な内容で、負担と給付の関係や、便益が将来世代にも及ぶ点などは皆無で、こども保険落とし所とするために恣意的な評価をしているように感じるね」
"なお、一部には、教育無償化の財源として、教育国債の発行を求める声がある。もちろん、平等な教育機会の確保は非常に重要だが、新たな国債の目的や名称がどうであれ、今以上の国債発行が将来世代への負担の先送りに過ぎないことは明白である。"(*2)
図表出典(*3)
ス「言われてみれば、将来世代への負担が100でも、便益が200だったら、現役世代に過度に負担をさせるのは、かなりおかしなことだね」
コ「ひでとみ兄ちゃんが紹介してたけど、
"国債が将来世代の負担になるのは、まとめると「納税を選択したときよりも国債を発行したときのほうが、予想実質金利が高くなれば、国債は将来世代によって負担される」"
ということになるんだって。」
ス「難しくてよく分からないな」
コ「緊縮的な金融政策はダメということだよ。また、投資を渋って将来世代の便益を減らしたりするのも筋悪と。詳しくは、紹介記事と、以下の書籍チェックだね
『経済学的思考のすすめ (岩田 規久男,筑摩選書)』
」
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イケメンだからと言って期待しても現実は厳しいんですね。小泉進次郎氏には以下のような評価があり、首肯できます。
"小泉議員はより深刻かもしれない。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのだろうか、ともかく経済的な倹約(社会保障の見直し)という視点しかない。むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのだろうが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり希薄だ"(*6)
消費増税を2度延期し、デフレ脱却のため日銀審査委員候補にガチのリフレ派「片岡剛士さん」を入れた安倍政権。
これと逆行するかのように緊縮策をねじ込もうとする与野党議員。
やはり、アベノセイダーよりももっと強力なフォースを感じます。
「こども保険」の導入 ~世代間公平のための新たなフレームワークの構築~
平成29年3月 2020年以降の経済財政構想小委員会
(*2)提言:
http://shinjiro.info/20170329kodomohoken1.pdf
(*3)説明資料:
http://shinjiro.info/20170329kodomohoken2.pdf
(*4)『日本の財政再建は「統合政府」で見ればもう達成されている』
(高橋洋一の俗論を撃つ! | ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/articles/-/119006?page=6
"第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
○2 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
○3 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。"
(*5)財政法
(*6)『財務省の「使い捨て議員」小泉進次郎はポスト安倍にはなれない』
(田中秀臣, IRONNA)
(*7)当ブログ『 「「こども保険」で残念な競演…orz @adachiyasushi @kb2474」』