小泉進次郎氏らの「こども保険」について、インタビュー形式の記事がありました。
中身を少し見てみましょう。

"幼児教育・保育や高等教育は無償化すべきか。またその実現のための現実的な財源はあるのか。永田町で議論が高まる教育無償化は今後、働き方改革に続いて、安倍晋三政権の政策の柱となる見通しだ"(*1)

(*1)『小泉進次郎氏が「こども保険」を強く推す理由 教育無償化はどのように実現するべきか』
(野村明弘 東洋経済記者,東洋経済オンライン,2017.05.01)

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写真出典(*1)

イケメン揃いで、質問者2には反論がコンナンっす。秘書に羽交締めにされた訳ではないのですが(汗

「あれれ〜、おかし〜な〜」

んっ?今、何か聞こえた気が

コンナン君「あれれ〜、おかし〜な〜」
質問者2(スベる)「あっ、コンナン君、久しぶり!」
(以降、コンナン君は"コ"、質問者2は"ス")

コ「進次郎のおじちゃんは、おかしなこと言ってるよね。

小泉進次郎氏"社会保険、消費税などの税、国債と議論したが、まず国債は除外した教育は未来への投資だから国債で資金調達してもよいと一部の方は言っている。教育が未来への投資であるのは同感だが、その理屈を言い出すと、何だって未来への投資になる。

私は農林部会長だからいつも言っているが、農業だって未来への投資だ。そうしたら農業国債、林業だって林業国債、科学技術も科学技術国債となってしまう。こんなことが通ってしまったら、すべてが(国債で資金調達しろと)くるだろう。そして未来への投資と言いながら、そのツケは未来の世代に回すことになる。"(*1)」

ス「国債はツケで、未来の世代に回すな、ってことかな。国債発行はダメ絶対!という何かを感じるね」

コ「未来への投資を理由に国債発行することはツケを未来の世代に回すことになる、と思っているようだね、進次郎のおじちゃん」

ス「お、おじちゃん…」

コ「歳出は必ず歳入とバランスし、歳入の内訳は、税収、税外収入、借金(国債)考えられるね」

ス「コンナン君、どうしたの急に。妙に詳しいね…」

コ「あっ、たかはしんいち兄ちゃんが言ってたんだ(汗」

ス「あれれ〜おかしい〜な〜、くどうしんいち兄ちゃんじゃなかった?」

コ「人類皆兄弟!
国債でファイナンスすべきものがあれば、国債で、とすれば良いんじゃないかな。
国債には、建設国債、特例国債(赤字国債)、復興国債、借換債などがあるみたいだね。
建設国債は"公共事業費、出資金及び貸付金の財源"(*5)として認められ、"建設国債を発行しても、なお歳入が不足すると見込まれる場合には、政府は公共事業費以外の歳出に充てる資金を調達することを目的として"特例国債が認められているね」

ス「ということは赤字国債でOKじゃないのかな?」

コ「そうなんだよね。建設国債でファイナンスできないなら、足りなければ赤字国債で良いよね。変なPB黒字化目標とかに囚われなければ。
建設国債は主に公共事業の財源として使われて、作られたモノ(資産)は将来世代にも便益を生み出すんだよね。
でも、ヒトに対する投資には建設国債は使えないんだ」

ス「(PB黒鹿って、地デ鹿の友達だろうな)」

コ「たかはしんいち兄ちゃんによれば、

"基礎研究や教育のように、成果が出るまでの時間が長く、大規模で広範囲に行う必要のある投資は、公的部門が主導するべきで、その場合、財源には、税金ではなく国債で賄うべきだ

高等教育を実施すれば、それで得た知識やスキルによって、所得増、失業減が見込まれ、社会全体でもかけた費用に対する便益が2倍以上になるとの試算がある。これは、現在の公共事業を実施する際の採択基準を軽く上回る。

 教育というのは、いってみれば「優良事業」なのだ。かかる費用はひとまず国債発行で賄い、教育効果の出る将来世代に納税という形で返してもらえばいい

モノへの投資は国債発行による公共事業になっているが、ヒトへの投資は税財源というのはつじつまが合わない。無形固定資産でも、コストベネフィット分析のB/Cのような投資採択基準でやればいい"(*4)


"そうであれば、いっそのこと財政法4条(下記)を改正して、建設国債対象経費にしたほうがいい"(*4)」


ス「へ〜、税でやるべきものと国債でやるべきものがあるんだね。小泉進次郎議員は分かってないみたいだけど。でも、財政法なんて簡単に変えられるのかな?"公共事業"の対象に教育とか入れちゃえば…」


コ「ぽりてぃかるきゃぴたるがー」


ス「コ、コンナン君、急にどうしたの?」


コ「普通の会社で考えたら、投資案件が複数あって、将来的に儲かるなら、費用対効果を考えたうえで、財源を調達して投資するよね。

そのときに

『将来の会社にツケ(借入金や社債など)を残すな!』

『会社の負債を社員1人当たりで割ると◯万円!』

とか言ってたら、どう思う?」


ス「か、関わりたくないね。そんな会社(汗」


コ「進次郎のおじちゃんが『俺を信じろ〜』と言っても、信じちゃダメなこともあるね」


ス「(スベってる…)」


コ「一応、比較表を作って、保険と消費税、教育国債を比較した(*3)ようなんだけど、定性的な内容で、負担と給付の関係や、便益が将来世代にも及ぶ点などは皆無で、こども保険落とし所とするために恣意的な評価をしているように感じるね」


"なお、一部には、教育無償化の財源として、教育国債の発行を求める声がある。もちろん、平等な教育機会の確保は非常に重要だが、新たな国債の目的や名称がどうであれ、今以上の国債発行が将来世代への負担の先送りに過ぎないことは明白である。"(*2)


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図表出典(*3)

ス「言われてみれば、将来世代への負担が100でも、便益が200だったら、現役世代に過度に負担をさせるのは、かなりおかしなことだね」


コ「ひでとみ兄ちゃんが紹介してたけど、

"国債が将来世代の負担になるのは、まとめると「納税を選択したときよりも国債を発行したときのほうが、予想実質金利が高くなれば、国債は将来世代によって負担される」"

ということになるんだって。」


ス「難しくてよく分からないな」


コ「緊縮的な金融政策はダメということだよ。また、投資を渋って将来世代の便益を減らしたりするのも筋悪と。詳しくは、紹介記事と、以下の書籍チェックだね

『経済学的思考のすすめ (岩田 規久男,筑摩選書)』

http://amzn.to/2pv3MFL



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イケメンだからと言って期待しても現実は厳しいんですね。小泉進次郎氏には以下のような評価があり、首肯できます。


"小泉議員はより深刻かもしれない。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのだろうか、ともかく経済的な倹約(社会保障の見直し)という視点しかない。むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのだろうが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり希薄だ"(*6)



消費増税を2度延期し、デフレ脱却のため日銀審査委員候補にガチのリフレ派「片岡剛士さん」を入れた安倍政権。

これと逆行するかのように緊縮策をねじ込もうとする与野党議員。

やはり、アベノセイダーよりももっと強力なフォースを感じます。






こども保険」の導入 ~世代間公平のための新たなフレームワークの構築~ 

平成29年3月 2020年以降の経済財政構想小委員会

(*2)提言:

http://shinjiro.info/20170329kodomohoken1.pdf


(*3)説明資料:

http://shinjiro.info/20170329kodomohoken2.pdf


(*4)『日本の財政再建は「統合政府」で見ればもう達成されている』

(高橋洋一の俗論を撃つ! | ダイヤモンド・オンライン)

http://diamond.jp/articles/-/119006?page=6


"第四条  国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

○2  前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。

○3  第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。"

(*5)財政法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO034.html


(*6)『財務省の「使い捨て議員」小泉進次郎はポスト安倍にはなれない』

(田中秀臣, IRONNA)

http://ironna.jp/article/3887


(*7)当ブログ『 「「こども保険」で残念な競演…orz @adachiyasushi @kb2474」』

http://ameblo.jp/shinchanchi2015/entry-12269962890.html