注目の日銀正副総裁人事案が国会に提示されました。(*1)


黒田東彦-sanは続投、岩田規久男副総裁、中曽副総裁の後任に、若田部昌澄 早稲田大学教授、日銀企画担当の雨宮正佳理事をあげています。

与党が衆参で多数を占めるため、同人事案は国会で承認される見通しです。


若田部昌澄さんは、リフレ派の経済学者で、朝日新聞の原真人さんを切り刻むなど、ジャックナイフのような切れ味をお持ちです。(*2)


雨宮氏は「日銀はインフレ率をコントロールできない」という「日銀理論」を日銀企画畑で支えてきた人物とされます。黒岩体制が決まるや2012年5月に大阪支店へ異動したばかりなのに、日銀企画局理事で本店に戻ってきました。


今回の人事案は、財務省、日銀、リフレ派学者というバランスが維持されました。


変化を期待できる可能性として、次の点があると考えています。


1)再任にあたり、安倍総理から何か働きかけがあり、黒田総裁が金融政策を更に進める可能性


2)政府・日銀の共同宣言を見直す可能性


3)正副総裁の順位を黒田、若田部、雨宮にする可能性


4)若田部昌澄さん、片岡剛士さんが金融政策決定会合などで金融政策を更に前進させる可能性


岩田規久男副総裁がおられても、5年という任期中に物価目標を達成できなかった事実はありますが、そこから学ぶこともあるかと思います。


期待していた本田悦朗スイス大使が人事案になかったのは残念です。若手の片岡剛士さんを日銀審議委員に任命したので、孤立化させるようなことをあべ総理はしないと予想していました。海外におられた(Zから避難?)本田悦朗さん若田部昌澄さんが加わることを予想して、リフレ派がプラス1となるのだとばかり…


新人事案が通ると、

財務省寄り:黒田総裁

日銀プロパー:雨宮副総裁

リフレ派:若田部昌澄さん、片岡剛士さん、原田泰さん

リフレ寄り?:桜井眞さん、布野幸利さん

?:政井貴子

銀行寄り:鈴木人司


金融政策決定会合で新たな提案を通すには5人の賛成が必要ですので、総裁をリフレ派にできなかった点、リフレ派は3人と前の体制と変わらない点が心配です。


日経では人事案の舞台裏を報じる記事を書いています。(*3)


“本田氏が日銀総裁になり、19年10月の消費税率引き上げに正面から反対するのは、財務省がもっとも避けたい展開だった”(*3)


“麻生太郎財務相も首相と日銀人事の話になるたびに本田氏起用に反対していた。”(*3)


”本田氏が「論争の若田部」と評価し、金融政策を活性化できる人物と官邸側に伝えていた“(*3)


デフレ脱却と財務省とのバランスを取る判断があったのでしょうか。

そもそも、財務省が推し進める消費増税をしたばっかりに、デフレ脱却できていない現状があるのですが…

金融政策はリフレになり、財政政策は緊縮のまま、というのがダメダメでした。


リフレ派の論客である若田部昌澄さんのお考えを知るうえで、直近のインタビュー記事(*4)やフォーブスのブログ(*5)をご一読されてはいかがでしょうか。

雨宮氏については田中秀臣さんの記事(*6)が参考になります。


若田部昌澄さんは、経済や歴史、政治にも明るく、とても期待しております。片岡剛士さんと合わせて若い「ガッツのあるリフレ派」が5年と言わず、10年ご活躍いただきたいものです。


記事の後ろに「僕が読んだ若田部昌澄さんの著書(共著、翻訳監修含む)」リストを書いておきます。



(*1)日銀総裁、黒田氏再任を提示 副総裁に雨宮・若田部氏: 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26990660W8A210C1MM0000/


(*2)2013参議院選挙の争点を考える―PHP Institute.TV (一部文字起こし)

https://sites.google.com/site/shinchanchiz/home/economics/abenomics


(*3)消えた「本田副総裁」起用案 日銀人事の舞台裏: 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27012940W8A210C1000000/


(*4)デフレ脱却に向けて金融緩和の継続と積極財政を(若田部昌澄・早稲田大学教授)

http://globe.asahi.com/feature/side/2018020100004.html


(*5)若田部昌澄さんのブログ

https://www.forbes.com/sites/mwakatabe/#2419c0d64228


(*6)リフレ派の邪魔をしてた人間(雨宮正佳)が「日銀リフレ派」といわれる怪奇 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

http://tanakahidetomi.hatenablog.com/entry/20130319/p1



僕が読んだ若田部昌澄さんの著書(共著、翻訳監修含む)

経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

https://www.amazon.co.jp/dp/4492371133/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_M0kIAbSQ8GNEJ


ネオアベノミクスの論点 (PHP新書)  

https://www.amazon.co.jp/dp/4569824226/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_J1kIAb65N35A4


もうダマされないための経済学講義 (光文社新書)  

https://www.amazon.co.jp/dp/B00E4FEVKW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_F2kIAbQQ6S7AY


本当の経済の話をしよう (ちくま新書)  

https://www.amazon.co.jp/dp/B01C83B168/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_w3kIAbFRHVFAN


日本経済は復活するか 

https://www.amazon.co.jp/dp/4894349426/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_p4kIAb3MQTE99


伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本 

https://www.amazon.co.jp/dp/4492395334/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_.4kIAbV0YDZHX


エコノミスト・ミシュラン

https://www.amazon.co.jp/dp/4872337956/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_95kIAb0E6NXF5


緊縮策という病:「危険な思想」の歴史   マーク・ブライス(若田部昌澄さんが翻訳の監修)

https://www.amazon.co.jp/dp/4757123418/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_46kIAb1DHCY1R


Japan's Great Stagnation and Abenomics: Lessons for the World

https://www.amazon.co.jp/dp/1349494119/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_K8kIAbDYZ2FWE



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