島本製作所のティッシュペーパー・カバーB そのⅢ 加工工程考察 | しんのすけのオーディオ部屋

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こんにちは(^_-)-☆  しんのすけです

 

 

 

前回の予告とはちょっと変えて、加工工程を予測してみました。わたしは「箱屋」じゃないので、多少間違っているかもしれません。

加工工場独自のノウハウがありますので、複合工程(複合型)にするなどして工程数を減らしていると思います。

また、金型費節約のために専用型を作らずに汎用のカット型や部分型を「ケトバシ」(人力プレス機)等を使い家内工業的な工程でやっている部分もあるでしょう。

 

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以下の工程は一例であって本来の工程を当てるものではありません。一応こうやれば同じものができるということです。

 

材質:純銅板 T=0.8

 

【加工工程】

1.シャーリング    規定の寸法に板を切断します

2.プレス

  1)ブランク    外側を抜きます

  2)ピアス     穴を抜きます 

            ※1)2)を同時 総抜き型(ブランク・ピアス)かもしれません

  3)箱絞り     箱型形状に絞ります

  4)天面フォーム  ティッシュ取り出し口の縁絞りと模様付けです

  5)側面フォーム(2か所)  長辺の模様付けです

  6)側面フォーム(2か所)  短辺の模様付けです

  7)端面カット   縁を付けてからだと切り難いので先に切ると思います

  8)端面フォーム  端面の縁を付けます

  ※なお、各工程にて切粉の除去(エアー吹き)金型清掃は、打痕防止のため入念に行います

 

3.バリ取り      切断によるバリ・カエリを取ります

4.ヘアライン仕上げ  染色前の並仕上げです

 

5.模様を部分的に黒くする処理

            裏側が黒なので何かの溶液にどぶ付けするのではと思います

            多分「酸化銅」にするのでしょう

6.ヘアライン・塗装前最終仕上げ

            

7.クリア塗装

 

8.清掃、シール貼り付け

 

9.検査

 

10.梱包

 

 

なお、先に箱を完成(端面まで)させて模様付けする工程も考えましたが、模様とリブが結構深いので形状が崩れると思い上記工程にしました。

でも、上記工程でも絵を入れると箱がゆがむ様な気もします。最後に仕上げフォーム工程を追加する手はあります。銅は意外と伸びるので、さほど変形しないのかもしれません。

 

半分絞った状態(45度とか)で模様をいっぺんに入れる工程も考えましたが、絵の立ち上げ角度からいって難しいと思います。金型も大きくなりますし邪道でしょう。

 

正直、銅の箱は経験ありません^^;

 

 

 

【各部詳細】

①天面の模様

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細かい模様が描かれています

 

 

②長辺部の絵

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けっこう繊細に描かれています

杖だか武器だかの細い部分は幅2㎜、打出し高さもけっこう高い

原画を描いて、木型を作って・・ 彫刻屋が・・・ 放電で金型彫 みたいな感じなのかな

昭和の時代ですからね

 

 

 

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裏側 細い部分は幅1㎜

表側とは肉厚分減らすので、金型製作も全く別工程になるでしょう(凸と凹だから当たり前ですが)

 

 

 

③短辺部のリブ

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④端面部

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リブがあって、フレアになっている

ポッチがあるのは何か?

 

 

 

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端面角部

 

 

 

⑤樹脂底(裏側)

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樹脂インジェクション成形品

基本肉厚は3㎜ 材質はわからないが多分ABSではないか

四角い穴は表にある本体を止める爪を成形するためのもの。

 

 

 

 

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島本のマークはここに入れられています

 

 

 

【まとめ】

 

以上の様に、ティッシュカバー一つ量産するにも複数の工程設計、金型等 多大な開発費用が必要になります。

ここが、金型1つでスポっと抜ける格安品とは大きく違うところです。

 

それに合わせて加工工程では、金型を使いこなしメンテナンスを行いながら生産します。また、工数短縮と品質向上のために改善も行っていきます。

 

仕上げ工程では黒い部分をうまい塩梅に残しながらヘアラインを掛けるという「伝統工芸的な手法」も取り入れています。(まあ、ヘアライン掛けるとこんな感じになりますが)

 

これが日本のお家芸だった「ものづくり」というものでしょう。

 

 

 

昨今では何でもお手軽になって安い物に目がいって、良い物を長く使う文化が薄れていると思います。

本物が少なくなっているのは消費者にも大きな責任があると思います。

 

 

 

鍋加工金型例

写真)鍋工場金型ラック一例