古代ギリシャの料理文化 2 | 王様の料理人。料理人の王様。

王様の料理人。料理人の王様。

尊敬するアントナン・カレームについてのレシピや、古典料理、地方料理、調理科学や作り方のコツ。モダンキュイジーヌのレシピ、画像、作り方。フランス料理、スペイン料理についての歴史。

食事は臥台(がだい)の上に横たわってとり、料理は指でつまんで食べる。この臥台の習慣は前7世紀頃ペルシャから伝わったといわれ、ローマも同じように臥食を取り入れていた。
 アテナイにはすでに多数のプロの料理人がいて、裕福な市民が大掛かりな宴会を催すときは、その組合のあるアゴラ(広場)に出かけて高額の報酬で臨時に料理人を雇ったといわれる。ギリシャでは料理は男性の仕事とされ、専門の料理人もすべて男性である。

 ギリシャでは美食への社会的関心は極めて高く、美食家や裕福な市民が審査する料理のコンクールが催され、優勝者には月桂冠が与えられたという。何人かのギリシャの料理人や美食家の名前が今日に伝わっているが、中でももっとも名高いのはアルケストラトスである。

 アルケストラトスは前4世紀頃に活躍した美食家、詩人でシチリア島のギリシャ植民都市ゲラもしくはシラクサの出身だと言われている。当時シラクサは名料理人を数多く輩出することで有名であった。彼は美食を求めて地中海世界を経巡り、各地の料理の詳細な研究をまとめ「美食術」あるいは「美食学」という著作を残したといわれる。しかし、今日ではその内容は一部しか伝わっていない。

 古代ギリシャでは数多くの料理書が記述されたといわれるが、ほとんどが失われ、ローマ時代、アテナイオスが記した、ギリシャの美食、料理の逸話からなる「美食の賢人たち」がほとんど唯一のギリシャの美食と料理を知る資料となっている。