悲愴!!棄老伝説を追いかけ、「姨捨山(冠着山)」から「姨捨駅」を辿る | 信濃路てんこ盛り

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「楢山節考」

 

深沢七郎氏の短編小説で、民間伝承の棄老伝説を取材し、部落の因習に従って年老いた母を真冬の楢山へ捨てにいく物語として書かれた作品。

 

1958年には木下恵介監督、1983年には今村昌平監督によって映画化され、それぞれ話題となったようです。

 

今回、知人が鑑賞した今村作品のDVDをきっかけに、棄老伝説に迫ってまいりました。

 

 

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今年3月、知人が「楢山節考」のDVDを観て感化されたのか、「姨捨山(オバステヤマ)へ行こう」と言い出した。

 

しかし、登山道の閉鎖やコロナ問題の影響があり、実現出来ないまま時間だけが流れていましたが、冬が来る前の11月6日に思い切って出かけてきました。


「姨捨山」の正式名は「冠着山(カムリキヤマ)」で、10世紀中頃に成立した「大和物語」に姨捨伝説が登場します。

 

妻の指図で「おば」を捨てる話ですが、深沢七郎氏が「楢山節考」で伝説を結び付けたようです。

 

さて冠着山への登山コースは複数ありますが、今回は標高差約300m、山頂まで50分程度の「坊城平コース」を選択しました。

 

10時50分、千曲市にある「坊城平いこいの森」に車を停めて出発です。

 

 

「比較的楽なコース」と安易に考えていましたが、だらだらとした上りが続きます。

 

登山道は整備されていますが、山頂近くには数多くの「棒状の鋼材?」がむき出しの状態で埋まっており、転ばないように注意が必要です。

 

歩き始めて20分、「ぼこだき(児抱)岩」の案内が出ていたので、ちょっと寄り道。

 

 

草木が生い茂り、よく見えませんでしたが、ロッククライミングの名所との事。

 

児抱岩(背後に大きな岩が迫っている)

 

再び本道に戻って山頂を目指しますが、「歩きながら休める」比較的平坦な道は殆どありませんでした。特に最後の上りが結構きつかった。

 

 

こうして11時45分、鳥居をくぐり到着です。

 

 

冠着神社の本殿は写真の通り、倉庫のような建物(社殿)の中にあります。

 

 

風の強い一日だったので、この中でコーヒータイム。

 

温まった後、山頂にある「山名方位盤」を見ながら山座同定を楽しみました。

 

 

360度のパノラマでしたが、特に「善光寺平と北信五岳」の景色が最高です。

 

 

下山後は「姨捨駅(オバステエキ)」へ。

 

 

全国的にも珍しい「スイッチバック」のある駅です。

 

駅が勾配の途中にある為、列車は一旦、引込線に進み、その後に逆走して土手の上にある平坦な駅に停車するしくみです。

 

例えば、長野駅方面から来た列車(写真右奥側)は駅の脇(右手前側)を通り過ぎてから、駅の引込線に入り進行方向を変えて、左手前側から駅ホームへと入ってきます。

 

 

駅舎入口には「故郷の民話 姨捨山」の案内がありました。

 

 

こちらは殿様の命令により年寄りを山に捨てる内容となっています。

 

この後、「長楽寺」を訪れ…

 

 

ここから見える棚田を観賞。既に稲刈りが終わっており、絶景とはいきませんでしたが、それでも十分に美しい風景でした。

 

 

締めは温泉です。

 

1年間に長野県内の「42温泉施設」のうち、12ケ所に入湯出来るという1500円の「信州物味湯産手形」を利用して…

 

 

今回は、「戸倉国民温泉」へ。

 

 

「昭和感」満載の銭湯のような温泉でした。

 

懐かしの靴入れ

 

何故だか超満員。平日の15時台なのに、カラン10個に対して、15名も入っていました。

 

そして風呂上がりは、やっぱり「フルーツ牛乳」!!

 

こうして今回の「伝説追跡」は中途半端な形で終了しました。

 

「棄老」という悲愴な伝説はあちらこちらに存在し、内容も各々違うものです。

 

今回をきっかけに、その伝説ごとの時代背景や地域の特性、教訓等を追っかけてみようかなと思っています。