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2011年3月 362p 中央公論新社 初出「中央公論」2009年5月号、8月号、11月号、2010年2月号、5月号、8月号、11月号
○京極夏彦「オジいサン」読みました。
72歳、独身の益子徳一氏の、とある1週間を記録した連作短編です。なかなかよかったです。老人がだんだん狂っていくような京極氏独特の毒のある内容ではなく、あくまで直球勝負の作品です。表紙とか雰囲気とか、重松清氏の作品的でもあります。でも、文章は、京極氏のものです。
すべてが主人公の語りなんですが、思考は自由にあっちに行ったりこっちに来たり巡るのですね(でも、それは年を重ねなくても同じことですね)。
年を重ねていくとはこんなことなのかな、と思わず考えてしまいます。我々は年を取っても、思考(中身)は変わらないのだな、とも思いました。ラストもよかったです。6261
以下、覚え書きです。
七十二年六箇月と一日
徳一はついこの間、「お爺さん」でもなく「おじいさん」でもなく、「オジいサン」と呼ばれたことがあったことを、一生懸命思い出そうとして、思考があちらこちらに飛びます。。。
七十二年六箇月と二日
午前中、中学生くらいの子どもたちが、公園でたむろしていました。徳一は、今日は何曜日だったか、思考を巡らします。。。
七十二年六箇月と三日
回覧板を持ってきた隣の隣の菊田さん。隣の田川さんが、この一週間ほどいないので、飛ばして持ってきたと言います。そして、田川さんの話をし出すのでした。。。
七十二年六箇月と四日
スーパーの試食コーナーで、ソーセージの試食をします。その試食から連想して、徳一はいろいろなことを思い出すのでした。。。。
七十二年六箇月と五日
買ってしまったソーセージを料理しようと、いつもと違う段取りに取りかかる田川さんなのですが、思考はいろいろ飛ぶのでした。。。
七十二年六箇月と六日
田中電気の二代目が、徳一氏に地デジTVを買うように勧めるわけですが、例によって徳一氏の思考はいろいろ巡るのでした。。。
七十二年六箇月と七日
隣の菊田さんが、老人たちで地域の見回りをおこなうということで、徳一氏を誘いにきたのですが、菊田さんとのやりとりにうんざりする徳一氏でした。。。
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