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2008年10月 378p 文藝春秋、「オール讀物 2006年11月号~2008年4月号」
東野圭吾「聖女の救済」を読みました。
真柴綾音の夫、義孝が何者かに殺されました。調べていくうちに、亜ヒ酸による毒殺だと判明しました。明らかに綾音が怪しいのですが、彼女は義孝が殺された時期、北海道の実家に帰省していました。
警視庁の刑事、草薙は今回ちょっと変です。というのは、綾音に一目惚れというか、何かピンと感じたところがあったようです。
一方の新人女刑事、内海薫は、犯人がどのように毒殺を仕込んだかのトリックを相談するために、帝都大学の準教授、湯川学の元を訪ねるのでした。初めは協力を拒んでいた湯川ですが、いつになく態度の変な草薙の話や毒物がどうやって仕掛けられていたかという点から、事件に興味を持ち、結局捜査協力をすることになりました。
しかし、今回の事件は湯川も難儀しました。なんとか考察の中である考えにたどり着いた湯川が発した言葉は、「虚数解」。「もし虚数解でなければおそらく君たちは負ける。僕も勝てないだろう。これは完全犯罪だ」。。。
ということで、東野圭吾「聖女の救済」を読みました。「虚数解」だと思わせぶりに湯川がつぶやきますが、この場合の「虚数解」は「理論的には考えられるが、現実的にはありえない」という意味のようです。
どうしても、「容疑者Xの献身」 と比較してしまいます。が、それは酷というものでしょう。「聖女の救済」は、あくまで湯川を主人公とした犯罪ミステリーとして読んだ方が楽しめます。
キャラも立っているし、このシリーズどんどん書いて欲しいなと思います。つい、この作品が映画化されたら、なんて考えながら読んでしまいますが、その場合は、綾音に一目惚れしてしまう草薙にスポットが当たるような描き方をされるのでしょうね。。。容疑者とおぼしき女性と草薙との関係がどうなるかも、ちょっと目が離せませんでした。
また、内海薫が女性刑事として組織の中でやりづらさを覚えているところなどもよく描かれています。音楽プレイヤーで福山雅治の曲を聴いていたりする場面などもあったりし、読みどころはちりばめられています。今後映像化される可能性も十分あります。ガリレオファンならずとも読んでおきたい一冊です。。。Y268
帝都大学准教諭「湯川学」が活躍する3シリーズは下記へどうぞ
予知夢はこちらです。
容疑者Xの献身
はこちらです。
ガリレオの苦悩
はこちらです。
映画「容疑者Xの献身」 の感想はこちらです。
ドラマ「ガリレオφ」(ガリレオエピソード ゼロ) の感想はこちらです。
ドラマ「探偵ガリレオ」の感想index はこちらです。