恩田陸「夜のピクニック」読みました。高校生異母きょうだいの心の葛藤を描く | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

夜のピクニック/恩田 陸

☆☆☆☆
小説新潮2002年11月号~2004年5月号(隔月連載)
新潮社 2004年7月 342p  2006年9月455p

新春第一弾の本はこれです!恩田陸「夜のピクニック」読みました。この作品は、2005年に第26回吉川英治文学新人賞第2回本屋大賞 を受賞しています。


融(とおる)と貴子は、同じ高校、同じクラスの同級生です。二人は異母きょうだいで、存在は知っていましたが面識はありませんでした。中学生のときの父親の葬式で、二人は初めて顔を合わせます。でも、二人は一度も口を利くこともなく、それゆえ二人の心の中で、複雑な感情が渦巻いていました。もちろん、二人が異母きょうだいと知る同級生はいません。


さて、夜のピクニックとは、二人が通う高校の、80kmを夜通し歩き通す歩行祭です。貴子は、この歩行祭を無事やり遂げたらあることを実行しようとを心に決めて、臨むのでした・・・


多感の年頃の高校生、もしも自分に同学年の異母きょうだいがいたら、それも同じクラスに、と考えたら、と思うと、どんな具合なのだろうか、と思ってしまいます。また、夜通し長時間歩くという状況、心の中にいろいろな葛藤が渦巻いてきます。そういう感情が、この本では上手に描かれています。


淡々と物語は進みます。二人の心のわだかまりは、この歩行祭で、解消されるのでしょうか?恋愛小説ではありません、ミステリータッチですが殺人事件も起こりません。でも、高校の頃の、淡い切ない感情を思い起こさせてくれるような作品です

ときおり挟まれる唐仁原教久の書き込みの少ないの装画が感じ出てます(単行本で読みました。文庫本は確認していません)


追記1:このような高校行事、この本を知る前から友人から聞いた覚えありました。探すと、恩田陸の母校、水戸一高でやっているのですね。このHPの写真 、夜のピクニックそのままで、笑えます・・・


追記2:夜のピクニック、映画化されていたのですねぇ 、知りませんでした・・・

夜のピクニック 通常版/多部未華子

追記3

恩田陸の本は、不安な童話、まひるの月をおいかけて も読みました。

不安な童話の紹介はこちら・・・

まひるの月をおいかけて の紹介はこちら・・・


恩田 陸
不安な童話
恩田 陸
まひるの月を追いかけて

テーマ:恩田陸 はこちらです・・・


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