ゲーム理論(P&G) -その10- | 株右衛門の経済&投資講座

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しぶさわ太郎です。

 

ゲーム理論も今回で最後です。

 

これまで考察してきたように米国のBlades and Razorsのオンライン市場は、競合との価格競争が激しいレッドオーシャンである。

P&Gとユニリーバは、GilletteとDollar Shave Clubというブランドでこの市場で、激しい価格競争を行っている。その結果、現在の各社の主力製品価格のrazor or cartridgeあたりの価格は均衡している。

またサブゲームにおいてこれまでに存在していなかった技術を活用した高機能製品が開発されている(GilletteのHeated Razor)。現時点において、Dollar Shave Clubはこのサブゲームに参入していないが、将来的に参入する可能性もあり、メインゲームと交差する可能性もあると考える。

 

この競争の激しい米国のBlades and Razorsのオンライン市場でさらに売上シェアを伸ばし、利益を拡大するためには価格攻勢だけではないアプローチを行うことが必要である。

 

私は Gilletteのビジネスを今後さらに強化するための戦略としては、以下2点を提案したい。

 

1点目は、ジレットシェーブクラブで女性をターゲットにした新製品開発し、販売することである。

以下図が示すように女性は、男性よりも支払い意欲が非常に高いというデータが出ている。このデータでは、調査対象6441人に対してアンケートを行った結果、GilletteとDollar Shave Clubの製品に対して女性は男性の少なくとも2倍の額を支払っても構わないと思っている。

 

現在、GilletteはオンラインのGillette Shave Clubにおいて女性専用の製品を販売していない。Dollar Shave Clubも販売しているBlades and Razorsにおいて男性用・女性用の区別はしていないが、女性向けも対象としていた場合、彼らの販売価格($9)は非常に安く、利益の機会損失があると考えられる。

つまりオンラインのサブスクリプションビジネスにおいて女性をターゲットにした製品を行うことが、Gilletteの売上・シェアを回復する切り札になるのではないかと考えます。

 

 

2点目は、P&Gの他の消費者向け製品ブランドと連携を行い、製品の競争力を強化することを提案したい。

P&Gは、Gillette以外の数多くの消費者向けブランドを保有しています。今後、詳細な分析が必要ですが、P&Gの強いブランド品群を活用することで、Gilletteの販売を伸ばすことができる可能性があると考えます。

 

例えば週末にオムツとビールは一緒に購入されるという傾向があると言われています。これは、ある量販店のPOSデータの結果から週末に子供のいる両親がビールと一緒にオムツを買う傾向があることがわかったことです。この分析から一部の量販店は、週末にビールとオムツの特売一緒に行い、売上を拡大しています。

 

この例のようにPOSデータなどの分析を行い、Blades and Razorsを購入するときに一緒に購入される相関性の高い製品と連携した販売を行うことで、価格だけではない魅力を消費者に届けることができるのではないかと考えます。

まさにP&Gのグローバルブランドを総活用して、Gilletteブランドをより強化できる可能性があるのではないかと考えます。

 

最後までゲーム理論を読んでいただきありがとうございました。