前回の記事で「日本のエホバの証人定量的研究」について思う所を書きました。
今回はその中身を見ていきたいと思います。
中の人に聞いたら当然そうなるよねという部分は、議論してもしょうがないのでスルーしていきます。
まず、「教育」の項目ですが、比較対象の母集団が日本人は15歳以上、エホバの証人は18歳以上と条件がそもそも異なります。
しかも現役高校生・大学生も含まれているでしょうから、必然的に高卒以上や大卒以上の数字は低くなることは素人でもわかります。
こういう統計って有意なんでしょうか?
「数字はウソをつかないが、ウソをつく人は数字を使う」ってよく言いますよね。
報告書には「JWの回答者の半数以上(58.4%)は高校を卒業しており,3分の1以上(36.7%)が中等教育より後の学校を卒業している。対して一般人口では,それぞれの割合は35.0%と33.0%である。」と書かれています。
高等教育非推奨に対する反論なんでしょうけど、「半数以上は高校を卒業しており」ってことは半分以上が高卒が最終学歴ってことです。
「中等教育より後」って分かりにくいですが、要は短大等を含めた高等教育ってことですよ。
エホバの証人の3分の1は高等教育を受けてますって言っちゃえばいいのに。
で、これも表にしてわざとわかりにくくしてるんじゃないかって感じですけど、
比較するならこういうグラフの方が良くないですか?
これ見ると、エホバの証人の6割強が高卒以下なのに対し、日本人で高卒以下は5割も行きません。
エホバの証人の高卒率が異常に高いのは一目瞭然です。
で、大卒者の割合は日本人は2割なのに対し、エホバの証人1割ほどしかいませんよということです。
ただ、短大等も含めると前述のように同じくらいの割合になります。
エホバの証人のサンプルにはもともと大卒だった1世も含まれていますので、このデータを見ても大卒非推奨に対する反論にはまったくなりません。
22歳以上の2世に絞ったデータで比較してみたいものです。
大学進学率はどのくらいか、見ものです。
裏を返していくとおもしろいと思ったのはこれです。
まずはそのまま引用します。
学習における個人の選択の認識
本調査では,日本のエホバの証人がどの程度改宗を強制されたと感じているか,あるいはその決断は個人の選択であったと感じているかを調査した。ほとんどの人(86.5%)は,JWが自分をコントロールしようとしたという記述に同意せず,コントロールしようとしているのを感じた人は10%未満(8.2%)であった。また,96.8%はエホバの証人になることを自分個人で決定したと答え,この点に同意しなかったのは1.8%だった。
では、裏を返します。
改宗の際にJWが自分をコントロールしようとしているのを感じた人は8.2%=589.8人
現役のエホバの証人で600人近くがコントロールを感じていたわけです。
そして、自分個人で決定した…に同意しなかったのは1.8%=129.47人
130人が改宗を強制されたって言っているわけです。
今も会衆に交わる現役のエホバの証人がですよ。
それ自体やばくないっすか?
献身って自ら自分を差し出すことで、それにふさわしくない人はバプテスマの時、水に沈まないんじゃなかったの?
「離脱と復帰 誰がやめるのか,どうして戻ってくるのか」という項目がありますが、復帰した人に聞いてるわけなのでJW大絶賛な結果は推して知るべしです。
でも、興味深いのは戻ってきた人の数が示されたことです。
全サンプルのうち3.7%にあたる268人が「交友をやめたことがある」と回答しています。
不活発・排斥・断絶のどれかが明示されていないのが気になりますが、戻ってきた人の圧倒的多数は女性で204人です。
報告書によると「やめた時の平均年齢は30.6歳で、ほとんどの人が20代で交友をやめている」んだそうです。
で、「ほぼ3分の1が2年以内に、ほぼ半数が4年以内に交友を再開して、4分の1が5年~10年、ほぼ4分の1が10年以上の中断後に交友を再開している」としています。
この「交友を再開」も、正式な復帰のことなのか、単に集会に出席し始めたという意味なのかは不明です。
欄外の注釈もちょっと興味深くて、
エホバの証人の間では,不活発になった人(もはや会衆と共に宣教に参加していない人)と,もはやエホバの証人でない人(エホバの証人の行動規範に対する重大な違反を改めなかったために排斥されたか,正式に会衆との関係を自ら断絶した人)とが区別されている。不活発になった場合は会衆の制裁を受けないが,排斥されたり正式に自ら断絶したりすると,信仰面や社交的な面でのつながりがなくなる。(後略)
出典としてウェブサイトの例の「よくある質問」が明記されています。
この文言そのまま公式サイトに貼っとけよって感じです。
「メディアやソーシャルメディアなどでの差別の経験」の項目です。
エホバの証人の95% 近くが、この宗教団体について誤り伝えていると感じる報道を目にしたと回答しているそうです。
え?あなた方の愛する統治体はネガティブな情報は見ないようにって言ってませんでした?
「500人以上が侮辱の被害に遭い,63人が雇ってもらえず,54人が宗教を理由に脅しや攻撃を受けた。」とも書いてあります。
500人って書かれると多いような気もしますが、割合にすると6.95%です。
数字はウソをつきませんが、ウソをつく人は数字を使うそうです。
もちろん、宗教を理由にした侮辱や攻撃は決して褒められるものではありませんが、イエスはこう言われました。
「私のために非難され,迫害され,悪意のあるうそをいろいろ言われるとき,あなたたちは幸福です。 喜び,歓喜しなさい。天での報いは大きいからです。以前の預言者たちも同じように迫害されました。」マタイ5章11節、12節
だから、20代女性のコメントで「残念です」って書いてあるんですが、別に残念に思わなくていいんですよ。
むしろ喜んでください。
「家族に対する満足度と家族の機能」の項目です。
回答者の家族生活の質に対する見方は,「家族との生活に満足していますか」という質問によって測られた。図4に示すように,90%近くが「とても満足している」か「まあまあ満足している」のどちらかを選択し,逆に「あまり満足していない」か「全く満足していない」と答えた人は8%未満であった。
9割が家族生活に満足してるってそれはいいんですが、内部の満足していない8%(553.8人)をなんとかしてあげてください。
「聖書を学ぶと家族が幸せになれますよ」ってキャンペーンしてる場合じゃないです。
家族機能測定の葛藤尺度では,家族の中でよく言い争いをするか,あるいはよくけなし合うかを尋ねている。回答者の3分の1弱が,自分の家族には怒りっぽく,言い争いが多い特徴があると答えた。少数の回答者(213人)は,「家族の中に時々暴力を振るう人がいる」という記述に「当てはまる」と回答した。ほとんどのエホバの証人は,自分の家族に感情表現力と結束力があると回答しているが,一部の回答者は,家庭内の問題と闘っていると答えている。
ちょっとびっくりな数字です。
エホバの証人の家庭でも意外と言い争いが多いのかも?
ただ、いわゆる神権家族や非信者がいる家族がどの程度の割合で含まれているのかがわかりませんので、単純には結論づけられません。
家族の問題って非JWでもあるわけなので、そういう一般の人との比較もしてみたいですね。
長くなってきましたので、残りは次の記事にしたいと思います。