ネガティブな感情には、
不安や恐れや憂うつなど
様々なものがあります。
その中でも、
怒りはエネルギー値が高いため、
特に取り扱いが難しいものと
言えるでしょう。
怒り感情は、
様々な問題を
引き起こします。
例えば、
心臓や血管などに
強い負荷をもたらし、
健康に悪影響を及ぼします。
イライラした
気持ちが収まらず
不快な気分を
引きづりやすくなります。
モノゴトの判断を狂わせ、
人間関係でトラブルを招き、
立場を危うくします。
怒り感情に
うまく対処できないと、
身体的・心理的・社会的な
ウェルビーイングを損なう
結果を招くことになりかねません。
それでは怒り感情に
効果的に対処するためには、
どうすればよいのでしょうか?
この問いに関する
いくつかの研究があります。
それをお伝えする前に、
次の質問について考えてみてください。
Q.次に挙げるAとBの方法のうち、
怒りを鎮める効果があるのはどちらでしょう?
A.怒りを何かの方法で発散する
(大声をだす、サンドバックを叩くなど)
B.静かに座っている
アイオワ州立大学の
ブラッド・ブッシュマンが
行った研究では、
Aでは怒りが
収まらないばかりか
さらに攻撃性が増し、
Bは怒り感情を
鎮める効果があることが
確認されました。
また別の方法として、
マイアミ大学の
マイケル・マッカローらが
行った研究では、
怒りの体験によって
自分が得たことや
学んだことを書き出すのが、
効果的だと報告されています。
怒りを感じた時に、
何かの形で発散すると、
一時的に気分がスッと
するかもしれません。
しかしそれは、
長い目で見ると
逆効果であることが
わかっています。
怒りを発散しても、
心の内側では怒りの炭火は、
燻ったままになります。
それは些細なことでも
爆発しやすい待機状態と
言えるのかもしれません。
怒りを感じた時には、
まずは一人になれる場所で、
心を落ち着けること。
そして、
怒りを認識し、
それを受け入れた上で、
その体験から得たことや
学んだことなどを
整理するのが効果的です。
〈引用文献〉
Bushman, B. J. (2002). Does venting anger feed or extinguish the flame? Catharsis, rumination, distraction, anger and aggressive responding. Personality and Social Psychology Bulletin, 28(6), 724–731.
McCullough, M. E., Root, L. M., & Cohen, A. D. (2006). Writing about the benefits of an interpersonal transgression facilitates forgiveness. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 74(5), 887–897.