人生の成熟期への支援【リアリティセラピー】 | ウェルビーイングのおすそわけ

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(旧タイトル「カウンセラーからのおすそわけ」)

老年期の心理的支援は、
他の年代とは異なる
難しさがあります。


一番大きいのは、
身体的に衰えていく現実と
死を実感的に捉えることに
あります。


人生の成熟期においては、
将来へのビジョンや
希望が描きにくくなります。


人間関係が狭まり、
変化が少なくなります。


認知機能の低下に伴い、
他者とコミュニケーションが
とりにくくなります。


こうした中で、
周りの人は良かれと思って
色々なアドバイスをして
元気づけようとします。


しかし、
その思いとは逆に、
そうしたアドバイスは
かえって心理的な苦痛となり、
本人は疲れてしまうことになります。


心理学者のエリク・H・エリクソンは、
人生の成熟期の課題として
「自我統合感vs嫌悪・絶望」
を挙げています。


人生の成熟期では、
夢に向かって歩むことよりも、
自分の人生を振り返りつつ、
その意味を考えることが
多くなります。


そして、
自分の人生を統合し、
その意味を心に
納めることになります。


この発達的な課題は、
肩代わりすることが
できません。


周囲の人ができることは、
限られています。


本人に無理に何かをさせようとしない、
つまり外的コントロールを避けること。


本人が自分の人生を
一日一日納得して歩めるように
見守り支えること。


この二つが、
とても重要なのだと思います。


人生の成熟期の課題は、
やがて誰もが対峙するものです。


老年期の心理的支援の場面では、
成熟期の課題に対して
どのように向き合えばよいのかを
クライエントさんの生き様をとおして
学ばせて頂いているように感じます。

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