「今度の土曜、時間あるか?」
奴から電話だ。
さしあたり、必須の用事はなかった。
「あいにく、(※おみゃあのための)時間は、ねえ」(※)は心の声である。
ど~せ飯でも食おうかとかだろうし、奴と与太話してるくらいなら、公園で一人ぼんやり物思いに耽っていたほうが充実した時間を過ごせるのだ。
一応、便宜的に「何の用だ?」と尋ねてみると、
「梅が生り過ぎて困っとるから、採るの手伝え」
そ~ゆ~ことなら話は違う。
曲がりなりにも、いろいろ世話になっているから、手伝いならば他の用事は差し置いても行かねばならんのだ。
行くわと言うと、採った梅やるで、とか言われたけれど、梅のレシピに心当たりがない。
「梅って、梅干の梅か?」と、素朴に尋ねると
「他の梅があるのか?あるなら言ってみろ」こ~ゆ~ところがムカつく奴である。
そうだ、梅酒にしようと思い当たった。
さっき、丁度スーパーに行った際に先走って果実酒用の酒と氷砂糖を買って来たのだが、使い切るには1キロの梅が要ると能書きにある。
奴は、一キロの梅をくれるのだろうか?
もしもチョビットしかくれなんだら、作業を終えた後で口汚く罵ってやるつもりだ。