聴く度に赤面し耳まで赤くなり穴を探して飛び込み膝を抱えて顔を埋める、そんな曲が俺にはある。
♪この木なんの木気になる木
ご存知“日立グループ”のCMソング“日立の樹”である。
’73年に曲が世に出てからCM自体は何度も模様替えしながら、歌っているのは’75年2代目から’05年8代目まではずっと同じ人で、その名を“ヒデ夕樹”という。
シングルCDも含めて、この曲の収録CDを何枚も販売してきたが、今の所ほとんどか全部がこの歌手のバージョンである。
ずいぶん永い間、俺はこの人を”ひでた いつき”だと盲信して、お客さんにも迷いなく堂々と胸張って、そう口走っていた。
だって、そ~読めるんだもん。
”ひで ゆうき”だったのである。
とてつもなく、恥ずかしい。他人に喋っていた事実は消えない。
曲を聴く度に、人生の黒歴史を突きつけられて身もだえするのだ。
この曲、もはやスタンダードとして半世紀を経てもまだ尚、流され続けている。恐らく、親方巨大グループ企業が存続する限り未来永劫流れ続けるだろう。個人的には、生ぬるい拷問に近い。
あれから俺は、詠み方の怪しい字面を見ても安易に口にしないことにしている。