今、リボンマイクが完全復権を果たしつつある。
素性の確かな無添加システム、リボンマイクの音は人間の出す音を理解したように暖かく、RCA 77Dの発表(1945年)を以ってなんと70年前に既に完成していた。
コンデンサマイク全能の昨今、ボイスはあくまでも人間臭く、遠近感の表現もみごと、お得意の和楽器にとどまらずチェロ、ベースを歌わせ、ギター、バイオリンに至るまでその奏でる音楽に寄り添って豊かな表現力を見せる。
つい最近までリボンマイクといえば次のような「前世期の遺物」的扱いを受け「サッと」ふれるのが教科書的にあたりまえ、まるで他人事のようなとらえ方だった。
リボンマイク、定番説明
長くこんな時代が続いた、しかしその自然な暖かい音は捨てがたく、生き残ったマイクを中心に悶々と使用され続けてきたが・・・
ネオジム(ネオジウム)マグネットの登場・普及によってこれが完全に見直され、コンデンサマイク並みの軽量化、スリム化が可能になった事、そしてアクティブ型、デュアルリボン型などのモデファイも進みリボンマイク特有の欠点さえ克服して完全復権を果たしつつある。
【新しい時代のリボンマイク】
大きく重い・・・は昔の話。
1982年日本の佐川 眞人博士によってに発明されたネオジム(ネオジウム)磁石は現在、「世界で一番強力な磁石」です。
磁気回路のなかでNまたはSといった1つの磁極のみでアルニコ並みかそれ以上の磁束密度を得られる、つまり常識的構造であった「ヨーク」を省略できるということ、これは画期的小型化を可能とすることに直結しました。
仮に「ヨーク」を設けてもネオジム磁石では磁力があまりにも強力なため磁束はヨークを突き抜けてしまいヨーク内には磁路が形成されません。
この為、片磁極を使った磁気回路が用いられます。
7月に紹介したこの自作リボンマイク ではXLRケーブル250mm付きでわずか260g、なんとSM-58の298gよりも40g近く軽いサイドアドレス型リボンマイクの実現となりました。
モーター部に装着しているところの写真
想像以上に強力なネオジム磁石は圧倒的に小さく・軽く、この場合の磁束密度は1個あたり3500ガウス(350ミリテスラ)。
これは重いアルニコ磁石と大きな磁気回路を持つRCA 77Dのそれと同等またはそれをしのぐ値。
それを写真のようなヨーク構造を持たない単純な「板磁石」で実現しています。
この音はこちらから YOUTUBE で試聴できます。
【頑丈なリボンマイクを実現したい】
ところで このリボン形状、ただでさえ感度の低いリボンマイクでは音声による発電効率を上げ、強度を確保する為歴史的にヒダ状構造を死守してきた。
ある目的を持った場合、ダイナミックマイク並みの頑丈さが必要と判明。
リボンのコルゲーション加工をしているとき「ふと」気が付いた、ひだ(コルゲーション)構造以外、磁界中で同じ本数の磁束を切るには・・・・
Shinさん ひらめいた、エンボス(凸凹)加工だ!。
音・感度はコルゲーションと変わらない結果を得ました。
質量を変えずに実質面積をデカくしながら面の凸凹によって磁界の中で切る磁束本数を増やす試みは成功した。
2015年10月3日、「エンボスリボン」の開発はかくして実現した。
一つのハードルは超えた、これからです・・・
以上
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作) Shin
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)
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