真空管式マイク といえどもECMであるかぎり一般的には内部にFETが入ってインピーダンス変換をおこなっている。
しかしながらFETのない単なるカプセルも存在します。
このUEM-16は文句なしの性能を持つFETレス単一指向性カプセルです。
※(しかし「コンデンサマイク」を十分勉強されてからでないとまず使いきれないカプセルでもあります、それは使用法が純粋コンデンサマイクカプセルと何ら変わらないからです。)
これ(UEM-16)を使い純粋な真空管マイクをめざしたので少し勝手が違います。
「ファンタム式ピュアTUBE ECM」(仮称)という変なことになるかも知れませんがECMの自由度がまた広がりました。
ヘッドの球は6AU6の(三結)にて今回はいろいろ試みました。
(実験のポイント)
1.ECMのインピーダンス変換用FETを真空管に置き換える。
2.第3グリッド(サプレッサー・グリッド)の接続先=P?・K?と探りGNDへ。
3.カソードフォロワー(ソースフォロワーの真空管版)出力。
4.もちろん「ファンタム駆動」でなければ意味がない。
5.ヒーター電源の低電圧化(単三電池2本)、3V点火の実用性を見る。
通常のECMカプセル内にマウントされているECM専用チップFET(2SK1109)と真空管:6AU6
ECM専用FET(2SK1109)、これにはゲート抵抗(100MΩ以上)が混成されている点が一般FETと異なり、ブロック図などで「IC」と表現されることもあるが間違いとは言い切れない。
(なんと回りくどい事を)
実は最初に発表した「真空管マイク(Tube X2 )の開発」も「アルカリ乾電池の勝ち抜きテスト 」も、実はファンタム式真空管マイク実用化の為におこなっていた実験、というのが実際のところです。
それらはピュア・コンデンサ・マイクカプセルの入手見通しのつかない悔しさからの精一杯の歯ぎしりかもしれません。
マイクはまだまだ変わりますよ。
FETを排した真空管式ファンタム動作ECMのバラック実験。
※アルカリ単三電池2本でヒーター点火、ファンタムをB電源にして動作。
(トランス)
一言でいえば「音を良くする魔法の箱」。今回はタムラの「TpAs203」という小型高性能なものを用いたが、半世紀前の電気音響(DOK)製:IPT-105に交換するとさらに音が磨かれているのが判る。
安物トランスの代表、サンスイ(橋本電機)ST-75ではさすがに低域落ちと独特のクセが付いて回り、音楽向きではないがトランス独特の押し出し感はある。
前作の 「TUBE X2 」マイクがクラシック録音家のところで現在活躍中であるが、あのトランスは2倍以上の大きさの同じく「タムラTD-1715」です。
TUBE X2 記事http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11993826699.html 最後の部分に「TpAs203」との交換使用について感想がわずか書かれています。
この「トランス」についてはさらに実験考察を必要とするテーマであると感じます。
その後届いたタムラTD-2を同一試験に加えました(3/27)、価格的にはTpAs203より30%高程度だが、形状が3倍以上大きいせいか心なし音はゆったりしているようだ。
写真左に向こうからST-75、IPT-105、TpAs203を並べました。
【低電圧駆動のススメ】
真空管特性表とにらめっこしていると「立ち上がり」からしばらくの部分は案外無視されてしまっていることに気づく。
特にゼロバイアスのプレート電圧十数V以上など素晴らしくリニアであることに感動すら覚える。
この部分を使わない手はない・・・と「Tube X2 」で初めて一般管の低電圧(ファンタム)駆動を採用し良い結果を出し続けていますが更に奥がまだまだあったのだ。
ヒーター電圧については「減電圧性能」にばかり目が行って詰めが足りなかった。
本来6.3Vであるヒーター電圧だが・・・
単三4本で実験動作させている時、ミノムシクリップが外れた・・・・その後もかなり長い時間音が残っているじゃないか・・・・
じゃ単三2本(DC3V)でもイケるんじゃないか?と電池2本をはずして3Vに。
ヒートアップに2倍以上の時間がかかるが出音はまったく変わりない。ヒーター電流155mA、まったく文句ナシです。
単三 2本に限らず充電リチウム電池なども視野に入ればマイクロホンに収納する事も可能となる。
ただし、電圧が低い分やや加熱に時間がかかる為、SW-ONから30秒程で音が出始め、45秒程度までの間レベルは上昇・安定します。
この為、SW-ONから1分間は「余熱時間」と考えるのが良いでしょう。
真空管もこうしてちょっと掘り起こせば決して「懐古趣味」、「レトロな過去の産物」などにはなり得ない。
おもしろい未来志向のデバイスであることは間違いない。
未来につづく
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