1505 :真空管(一般管)式ファンタムパナ改マイクロホン「Tube X2」前編 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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「懐古趣味」など無縁です。

 

「真空管」この普遍的なる「音楽するデバイス」

個性も千差万別、今では玉石混交となった世界からどう選び、これとどう付き合っていくべきなのか、それを深く考えさせられました。

 

そして常識をはるかにを超えた方式の開発により、真空管を身近なデバイスとしてその魅力を「ファンタム式パナ改マイクロホン」として味わって頂くことに成功しました。

 

海外製高級マイク並みの性能と音質で自作マイクの定番となりつつある「ファンタム式パナ改マイクロホン」。

 

 2009年10月からFETとバイポーラTRを使用してまいりましたがついに真空管式の完成に至りました。

 

製作費用は数倍~10倍近くかかりましたがこの音の良さを体感し、今までの苦労もいっぺんに吹き飛びました。

 

このウォームトーンにはハマります。

真空管式ファンタムパナ改マイクロホンTube X2

スロバキア、JJ Electric社製ECC-803 S 使用(Sは高信頼管)

http://www.thetubestore.com/lib/thetubestore/JJ-ECC803-S.pdf

 

見ていただきたいのはEP-IP曲線です、ゼロバイアス時の20V~150Vま

で実に見事な直線(リニア)性、これを今まで見落としていたのだ!。

 

(なんと10V位から普通に動作する事もこのカーブから読み取れます)

 

史上まれにみる「真空管式ファンタムパナ改マイクロホン」は一般管を使った動作を成功させて完成に至りました。

 

構想は古く、FET‐AMP式の原型を考える際、真空管実験回路を登場させたことがありますが電池管以外、一般管使用のこのような例は初めてだと考えます。

 

 

 

【製作】

この真空管式マイクは卓やマイクプリからのファンタム電源をB+電源に流用して真空管(一般管)を動作させるというぶっ飛び発想をカタチにしました。

前ツラはこれでいくことにした

 



リアはこんな感じです

(電池交換が簡単に出来るようにリア側の止めネジは手回しできる「ローレットネジ」を採用)

 

 


組み込む臓物のすべて



発熱も「ほんのり」ですからこれでいい

 

ヒーター電源には単三アルカリ電池4本を用い、6時間50分の連続動作を記録しています。


 

(回路図)

 2015.2.8

後編のSW接点追加型を掲載してあります (2015.3..2)追記



 

「ファンタムパナ改マイク」初の真空管式は「ファンタム」からB電源を頂く方式。

 

1.回路的には従来のFET式と大差ないのですがトランス使用の差動型にし、センタータップを用いた直流供給によってトランスの「直流磁化」を防ぎます。

 

2.Direct出力とトランス出をスイッチ切替できるようにした。

Direct出力はハイインピーダンスですので3m程度までにとどめるのが安全です。

 

かくして「Tube X2」マイクロホン・システムとして登場することができました。

 

 

(バッテリーチェック機能)

デジタルメータはスイッチングノイズの混入がひどく、すぐあきらめた。

しかし、いまどきアナログのラジケータはアキバの古在庫か100均の電池チェッカーくらいだが100均のこれはあまりにも安っぽい。

 

それなら普通価格の電池チェッカーを、と手に入れたのがこれだ。

 


ラジケータいろいろ


左:1600円のハンパ品

上:丸型はShinのハンパ品

下:中央は100均のメータ

右:一般市販のバッテリーチェッカーと隣はそれをバラしたメータ部、

これを採用した。



<これは困ったちゃん>

電圧計として校正したまでは良かったが、ON-OFFで「プチッ バチッッノイズ。

 

もう一つはボタンから指を放した瞬間、メーターの針は「バチン」とメータのストッパを勢いよく叩いて戻る、これが可逆作用で電気信号になって回り込む。

 

こうやってやっつけた
電気
メーターと押しボタンSWはひとかたまり
になるようにメーター制動とEMC対策を同時に小基板中心にまとめ、ストレー容量など分布定数回路をおりまぜて考えた。

コイルは20φのトロイダル・フェライトコアに細線10ターンをバイファイラ巻き(色分けすべきだった)。

コイルは入出力の物理的隔離が重要、セラコン0.1μFは入れ方次第で薬にも毒にもなる。


バカボンのパパ これでいいのだ

 

 

(電池チェックメーター部回路図)

・針がゆっくり戻るように制動をかけ、「プチッ」ノイズはEMC対策ワザで完全消去。(上図)

 

・この部分の適正化に最も時間を費やしたのが予期しない出来事であった。

 

 

【特徴】

1.低電圧であくまでもリニアな球として種類が豊富、また管の選択により簡単に音質傾向を変える面白さを味わうことが可能な12AX7(ECC-83)系の中から説得力のある1本であるJJ Erectric社のECC803 S を選び出した。

2.真空管式ウォームトーン は従来の「ファンタム式パナ改マイク」の表現力に色気を加えて、より音楽に寄り添った音です。

 

3.真空管ECC-803S(12AX7互換)は同系の球との差し替えによって大幅に音質が変わります。

しかし「現在の12AX7系の90%以上がギターAMP用ですからね」と某有力真空管専門店ご主人、さらに続ける「だからお客さんには用途を聞くようにしているんです」 「プレートの小さい球はオーディオ用にはクセが強い」

 

4.同様の製作をされる場合はいかに真空管の選択が大切か、最低でも2種類の差し替え比較は必須だと思います。

 

5.トランスはタムラのTD-1715使用ですが製造中止品種になっていますので同等以上のトランスの使用をおすすめします。

タムラトランス: http://www.op316.com/tubes/lpcd/image/tamura-2000.pdf

(このリストの中でライン マッチング トランスで必ずCT付を使用します)

 

6.上記5同等以上のトランスであればタムラのほか「日本光電」「染谷電子」などの国内メーカーがあります

入手の点で容易であってもこの場合、秋葉原や通販の5~600円のトランスを用いるべきではないと考えます、トランスは1個1万円と心得れば裏切られません。

ヤフオクも安く入手するよい方法ですが規格とCT有無については要注意です。


 

【余禄=危険注)マイクの諸元を把握しない場合、事故となります。

この真空管AMP部は「3PミニXLR」の標準的ピン・アサインです。

AT社、RODE社、JTS社、CPなど同一ピンアサインのセパレート型マイクロホンの一部でそのまま使用できるものがあります。

 

逆に今回のミニXLR式のファンタム式パナ改マイクをそれらのファンタムAMP

で動作させることもできます。

 

ただしAMCRONのPCC-160やAT871Rなどはファンタム動作のAMP回路が内臓されていますのでこの場合動作しません。

! この件は自己責任でお願いします。

 

 後編に続く

 

 以上


 

 

 

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★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

 

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