1407 クラフト(自作)マイクロホン・フロントメッシュ考 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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工事中 マイクロホン・クラフトにおける最大のバリアー(障壁)はズバリ「外観」でしょう。

 

中でもフロントデザインを作ることは切望されながら絶望的でした。

この2~3年金属メッシュに着目してX-Yステレオバウンダリーなど目の粗いいものを手始めに次第に細かいメッシュを取扱い、fetⅡ(New)ではメッシュ100クラスの持つ「緻密さ」に大きな手ごたえを得るに至りました。

 

またfet V をメッシュ100でデザインした現物はメーカー製とまったく区別つかない出来栄えとなります。(下写真)

 

 

完成度の高い外観デザインのマイクを特別な工作機械など使わず、どなたでも作ることが出来るように前回 ・今回と2回に分けて材料・ノウハウの全公開を行いましたのでぜひ皆様自身のお役に立ててください。

 

 

(転機)

ピアノ用X-Yステレオバウンダリー は新たな回路検討を含め1年かかって完成させる中で多くのことを学びました。

 その1つに金属メッシュの「絞り加工」がありました。

一番最初に銅メッシュの絞りを行った記念碑的サンプル

 

・当初は銅製40φ程度の大きなものでしたが粘土細工のように好きな形になっていく銅網の不思議さに次第に魅せられていきました。

 

この時は二重メッシュそのものが外筐になる大胆なデザインでした。

 前例のない手さぐり~納得の完成度、ピアノに実使用した音に力を注ぎ果てて燃えつきました。

この為金属メッシュのみを突っ込んで研究することはありませんでした。

 

電球・mau(ふと・・・)

ステンレスの「メッシュ100」という鏡のように細かく美しいメッシュを見つけたのでfetⅡのフロントに使ってみた、しかし心配なのは音に対する影響だ。

メッシュには「開口率」という音に影響しそうなスペックがある。

何にもないに越したことはないがこれを前面部にしたデザインを想像するが早いかスグ絞り準備に取り掛かった。

 

絞り作業は数回の失敗のあと「ピタッ」とフィットした。(下写真)

その姿には作者の私が一番感動したと思います。



fetⅡ(上:メッシュ100使用、下:従来型)

 

この違い! もう前には戻れません。

 

 

前回記事http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11773263570.html  後半に絞り加工の例があります。

これが基本ですのでご参考にして是非実際にやってみて、更なる「深絞り」や納得の美しさを作ってください。

 

各種金属メッシュ

 



左から Suメッシュ60、200、100

 

 

(さて)

ポップ・スクリーンですら高域落ちを気にして嫌がる場合があるようですが「ウィンドスクリーン」「ウィンド・ガード」はそれほど障害物になるでしょうか。

 

この場合、材質・形状由来の原因は否定できないのではないだろうか。

「スポンジの音響抵抗+空気のマス+多孔ウレタンによるイコライザの形成か」金属メッシュとは出来上がる音響的等価回路があきらかに異なるようで、後者の場合ほぼ影響を無視できるほどになることを確認いたしました。

 

(ただ詳細理由はShinにはわかりませんが・・・結果だけはすぐに出る)

 

この事に自信を得たのでメッシュ30~メッシュ100までのステンレスメッシュと従来型fetⅡを使って下記のテストを行いました。

 

①音源とfetⅡとの間、マイクから5~10cmのところに200×300のメッシュを出したりひっこめたりして音の変化の有無を確認した。

 

②fetⅡの前面に密着してステンレスメッシュ各種を置いたときの音の変化の有無を確認した。




fetⅡ(従来型)にメッシュ100を当てている例

 

 

メッシュ100迄では①でも②でもビックリするほどメッシュの「存在感」のなさを確認でき、メッシュ200では「異物感」だけは確認できます。

 

(実際)

ステンレスメッシュの入手はホームセンター、ハンズなどで可能、Web通販の利用なら何でも入手できますが、この記事がそんなガイドになれば幸いです。

 

マイク・フロントにはなるべく細かい「200」あたりを基本にしたいのですが問題があります。

それは半球形に近く、深さを出した絞りを行うと円周の1カ所にシワが出やすい事です、それに強度の点でも気を付けたい。

 

目の粗いほどシワは出にくいので仕上がり写真を見てください。

 

十分な細かさと作業のし安さ及び強度とのバランスでこの「メッシュ60」はこのクラフトには非常に適していると思います。

「メッシュ100」は丁寧に扱えば綺麗な仕上がりとなります。

 

(習作)

左:アルミパイプ、中央:銅管にはメッシュ60。

右:fetⅡ材料にメッシュ200を装着した

メッシュ200を装着したfetⅡ外装ではメッシュのシワが見られる。

 

この一連の可能性は自作(クラフト)マイクには決定的に有難く、「絞り加工」によって自作マイク独特のあのECM前部が黒不織布だけの特有な形状は完全に解消できることはビルダーにとって最高の福音だと思います。

 


ミニXLRオスにメッシュ60を装着したモックアップ・サンプル。

 

葉っぱなお、シルバー色で半田付けが必要な場合は「洋白メッシュ」が入手可能です、Webで簡単に見つかりますが値段はぐっと高いです。

 

 

(余禄)

そんなある日、モノ作りのメッカ、東京大田区の工場前。

切削クズ(キリコ)のドラムカン横に捨ててあったのか置いてあったのか・・・型取り治具。声をかけたら快く無償で頂けた。(穴径6φ)

さすがにより深く、きれいに絞りが利く、社長ありがとうございました。
 

 

(お知らせ)

fet V、fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作)   (Shin)

 

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

 

 

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